新やぐら控訴棄却 「仮執行宣言」に怒り 強制執行実力阻止を誓う
新やぐら控訴棄却
「仮執行宣言」に怒り
強制執行実力阻止を誓う
9月2日、東京高裁第2民事部・渡部勇次裁判長は、新やぐら控訴審で極悪の反動判決を打ち下ろした。
開廷前から異様な弾圧態勢が敷かれていた。東京高裁前には警視庁の公安警察官数十人が布陣し、傍聴に来た人々を監視し威圧している。102号法廷の入り口は密集した職員によって固められ、廷内にも傍聴席を包囲する形で屈強な職員がすき間なく立ち並び、しかも手袋を装着している。あからさまな暴力的鎮圧部隊だ。傍聴席を埋めた百人近い人々の怒りが一層高まる。
被控訴人NAAの代理人は全員欠席。
午前11時、開廷すると、直ちに渡部裁判長が判決の言い渡しを行った。「主文、本件控訴を棄却する」
その瞬間、法廷は怒号で満たされ、裁判長の声はかき消された。「ふざけるな!」「農民殺しへの加担だ!」「絶対に認めない!」
渡部は続けて、「仮執行できる」と主文を読み上げると、即座にその場から逃亡した。途端に裁判所職員が前面に張り出し、傍聴者に退廷を促す。傍聴者全員が抗議をたたきつけ、激しい怒りで法廷を揺るがした。
裁判所門前に再結集し、太郎良陽一決戦本部長のリードでシュプレヒコールを上げた。「控訴棄却を許さないぞ!」「やぐら・看板を守り抜くぞ!」「安倍国葬粉砕!」
その後、弁護士会館で報告集会が開かれた。
葉山岳夫弁護団事務局長が「詳しい検討はこれから」と断った上で判決の核心点を批判した。
◇市東家に秘密裏に空港公団(NAAの前身)が転用の見通しも計画もなく旧地主から用地を「取得」し、15年も所有権移転手続きを行わず農地として使わせていたことは、農地法第5条違反。
◇農地を農地のまま利用することを目的として「取得」したとすれば、農地法第3条違反。
◇千葉県知事の許可なく行われた農地賃貸借解除は、農地法第20条違反。
以上のような弁護団が行ってきた主張に対し、判決は、「激しい空港反対運動があって用地買収を進めるのは容易ではなかった。空港敷地への転用目的で農地を取得したとしても、公団が具体的な転用計画を立て敷地を整備することができなかったのは仕方ない。成田建設のための農地転用は、事業の公益性・公共性から、県知事の許可は不要」などと、全面的にNAAの立場に立った。
さらに、市東さんには「やぐら・看板についての使用借権(無償で貸す権利)はない。反対同盟に使わせたのは違法だ」と決めつけた。専門家証人による「航空需要の減少は回復しない」との予測は、「証人の一つの見解」と切り捨てた。
仮執行については、他の裁判での判決が「すでに確定している」と裁判の独立性を放棄し「仮執行宣言を付す必要がないとする理由は見当たらない」との非論理を並べお墨付きを与えた。
葉山弁護士は「NAAの主張のコピー&ペーストであり、とんでもない憲法違反。直ちに上告手続きと執行停止の申し立てを行う」と述べた。
弁護団は、成田の「公共性」を押し出し「国策」として機能強化を進めようという凶暴性の背後には、成田廃港の危機があることを強調した。
婦人行動隊の宮本麻子さんが、「現地実力阻止態勢を強化し闘う」として、10・9全国集会とその前日の天神峰夜カフェへの参加を呼びかけた。
現地で記者会見開く
反対同盟は9・4現地闘争に先立ち成田市天神峰の市東孝雄さん宅離れで記者会見を開き、2日の新やぐら控訴審判決への弾劾声明を発表した。記者からの質問に答える中で、「強制執行攻撃がかけられようとも、来るなら来い!」と断固闘いぬく決意を明らかにし、10・9全国集会への結集を呼びかけた。