9・2やぐら判 決―9・4現地闘争に立とう 耕作権裁判 NAAの証拠隠しに怒り 結託する裁判長を徹底追及

週刊『三里塚』02頁(1094号01面01)(2022/08/22)


9・2やぐら判 決―9・4現地闘争に立とう
 耕作権裁判
 NAAの証拠隠しに怒り
 結託する裁判長を徹底追及

(写真 開廷に先立ち反対同盟を先頭に千葉地裁包囲デモに出発【8月22日】)

(写真 南台農地の関係土地図と衛星写真。E1は市東家が一度も耕したことがない)

(写真 本田晃裁判長)

(写真 報告集会で発言に立つ市東さん)


 自民党と旧統一教会=勝共連合との癒着・腐敗ぶりが暴かれ、岸田政権の支持率は急落。安倍国葬強行・弔意の強制への怒りと相まって窮地に陥っている。9・23デモ(東京・芝公園)の爆発で岸田政権の息の根を止めよう。三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかける9・2新やぐら控訴審判決への傍聴、9・4現地闘争に全力で駆けつけよう。10・9全国集会に総決起しよう(今号に招請状)。「成田軍事空港絶対反対!、農地死守・実力闘争」を56年にわたって貫き闘う反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判が8月22日、千葉地裁民事第2部(本田晃裁判長)で開かれ、全国から70人の仲間が結集し共に闘った。

農地守りぬく

 開廷を前に千葉市中央公園で開かれた決起集会で、最初に東峰の萩原富夫さんが発言に立った。証拠を隠し続け、裁判所が反動判決を出すことを期待するNAAの態度を弾劾し、市東さんの農地を守りぬく決意を語った。さらにB滑走路の北延伸工事と対決する9・4現地闘争への参加と、気候変動を促進する空港拡張をやめろと訴える新たな署名運動への協力を呼びかけた。
 動労千葉副委員長の中村仁さん、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の連帯発言を受け、市内デモに出発。農地を守る訴えに加え、「安倍国葬を許さない」の声が繁華街に響き注目を集めた。
 開廷後、弁護団は準備書面を陳述し、NAAの主張の矛盾を追及した。
 NAAは市東さんを「不法耕作者」と決めつけ「農業をやめて出ていけ」と迫っているが、市東さんの耕作する南台の賃借地の位置特定がそもそも間違っている。関係土地図のE1(南台41―9)はもともと石橋家の賃借地であり、市東家は一度も耕したことはない。ところがNAAはE1を「市東家の賃借地」と言い張り、そこからすべての立論を行って論理が破綻している。最近では、市東東市さん(孝雄さんの父)について「石橋家との間で、地主に無断で2回の土地交換を行った」などというデタラメな憶測を述べ立てた。
 また、NAAが証拠として提出したのは、1988年に旧地主藤﨑と東市さんとの間に交わされたとする「同意書」「境界確認書」と添付された図面なのだが、これらは偽造文書だ。東市さんは85年に脳梗塞を患っており、筆勢が強い署名は本人のものではない。
 弁護団は空港公団による用地買収交渉に関連する文書類一切の提出を求めてきたが、NAAは「存在しない」と白を切ってきた。「南台農地の買収については直接担当者は上西亮治(用地課長代理)、その上司の用地課長、その上司の用地部長の最小限の3人のラインで扱っていたがみな亡くなった。上西の仕事のやり方は、文書の入手時に逐一交渉記録化せず、入手した文書自体をファイル中に編綴(へんてつ)していくというもので、交渉記録等は存在しない」と。つまり、「死んだ上西が独特のやり方で担当してたから記録はない」と言うのだ。
 あまりにも見えすいた大ウソだ。空港公団は、つねにあらゆる用地交渉の過程を詳細な報告書にしてきた(相手との雑談も含めて)。記録を残さない方式など認められる余地はなかった。
 部長、課長以外には担当者が一人だけ、というのもありえない。空港公団―NAAは買収相手の土地所有者と接触する場合、通常2〜3人での対応が定められていた。上西とは別の買収担当の課長代理がいたことは明白だ。それは誰か。
 88〜89年の職員名簿を調べると、空港公団用地課には用地課長の笠原啓明のもと、課長代理および調査役、つまり用地買収の実働メンバーの十数人の名前が法理哲二他ずらりと並んでいる。この中に南台の買収交渉に直接かかわり、文書作成を担当した者が必ずいるはずだ。NAAはこれらの人々の安否・所在を調査確認し、生存者の陳述書を提出せよ!
 この当然の要求に対しNAAの代理人は沈黙を守るのみ。弁護団は本田裁判長に対し、直ちに旧職員の安否・所在調査の実行について強く促すよう求めると、裁判長は「16年も経ちますし、現時点において裁判所としては、東京高裁を経て文書提出命令がすでに確定しており、原告(NAA)が関連文書を提出すべきというスタンスは変わっていない。だが法的には直接に命令し出させることはできない」

国策裁判長だ

 このごまかしに満ちた姿勢に、傍聴者の怒りが爆発した。「今すぐ調べさせろ!」「NAAの手先か!」
 弁護団も怒りをあらわにして、「担当者が死んだからわからない、記録もないとはでたらめだ。そうした調査一つできないというなら、会社ではなく烏合の衆だ。裁判所もNAAに愚弄されているのですよ」
 それでも裁判長は、「原告の認否反論をまず見たい」などとNAAをかばい立てする。
 「何のための裁判長だ!」と怒りの声はますます高まった。そんな中で裁判長は諭すように「認否反論があれば出すように」と告げると、NAA代理人は「ハイ」と素直にうなずく。どう見ても茶番だ。騒然となる中、次回期日を11月28日と確認し、閉廷。
 弁護士会館で報告集会が開かれ、市東さんがあいさつに立った。「ああいう国策裁判官が偉くなっていくのは本当に許せません。裁判所、NAAを追い詰める声を一層強くぶつけてほしい」
 葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団は、NAAと結託して真相究明を妨げる裁判長を徹底批判した。

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