全学連三里塚地行動隊日誌 市東農地決戦の先頭に立つ 農業つぶしを許すな 光合成は化学の奇跡 首都圏学生 田村顕一郎

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週刊『三里塚』02頁(1093号02面02)(2022/08/08)


全学連三里塚地行動隊日誌
 市東農地決戦の先頭に立つ
 農業つぶしを許すな
 光合成は化学の奇跡
 首都圏学生 田村顕一郎

(写真 市東さんの畑でナスの収穫【7月22日】)


 樫の木まつりで宣言したとおり、7月下旬に援農に参加しました。ナスとオクラの収穫、里芋畑の雑草取り、出荷作業、土を温めるビニールの撤去、を手伝わせていただきました。1日だけでしたが、良い経験になりました。
 農業は肉体労働だとよく言われます。しかし肉体労働の中でも、引越しなどのタイプの肉体労働とは別の方向の辛さを感じました。腰を曲げる姿勢を続けること、そして暑さ、この2点です。特に暑さについて。この日は昼過ぎまで曇っていて日差しが控えめではありましたが、それでも暑く、夕方になって晴れてきてからはさらに火照るような暑さでした。この文章を書いている8月上旬、現地はさらに暑くなっていることでしょう。三里塚で活動する全ての皆さんはどうか体にお気をつけください。
 この暑さ(正確には太陽光エネルギー)は、しかし自然と人類が拠って立つ唯一無二のエネルギー源でもあります。葉緑体に含まれるクロロフィルという物質の分子には、炭素を骨格としながら窒素を含み、中心にマグネシウムイオンを囲む大きな環状構造である、テトラピロール環があります。
 その大きさが太陽光(電場と磁場の波である)の波長とぴったりと共鳴する大きさで、環上を自由にぐるぐる回ることができる「π電子」が太陽光のエネルギーを吸収し、周囲の水分子から電子を奪いながら弾け飛ぶことで、太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する長く複雑なプロセス(光合成)を始動させる役割を果たします。 また、電子を奪われた水は分解されて酸素となり放出されます。そして光合成の過程では空気中の二酸化炭素を吸収して有機化合物に変えます(炭素固定)。
 この「化学の奇跡」ともいうべき驚異的な物質、クロロフィルとそれに続く光合成プロセスで活躍するさまざまな物質が、この地球上のほぼ全ての植物の中に豊富に含まれているのです。市東さんの畑の豊かな土の上で、雑草を間引かれ最も効率の良い間隔で植えられて、一面に広がる野菜たちの葉の一枚一枚に、含まれているのです。
 何が言いたいかというと、農業というのは、他に代用の効かない特殊かつ驚異的な生産性を持つ人類の生産活動だということです。単に「なくなったら食べるものがなくなる」というだけにとどまらず、農業の持つ重要性、人類活動全体に占める比重は、極めて大きいのです。南台の畑で汗をかきながら草をむしりながら「今私すごく価値のある労働してるな」と直感的に感じることができたのはそのためです。
 その農業の重要性は資本主義社会の中で不当に過小評価されています。だからこそ農業は保護されず、全国で跡継ぎのいない農家が続出することになるし、農業軽視の典型例としての三里塚の農地取り上げ攻撃があるのです。
 したがって、三里塚闘争の勝利には人類史的な意義があります。強制執行実力阻止の闘いの継続を支援し、そして全国全世界に告げ知らせるために、私はこれからも頑張ります。

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