明日も耕す 農業問題の今 戦争最優先の「骨太方針」 〝有事に備えた農業を〟

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週刊『三里塚』02頁(1090号02面03)(2022/06/27)


明日も耕す 農業問題の今
 戦争最優先の「骨太方針」
 〝有事に備えた農業を〟


 6月7日、岸田内閣は経済財政運営と改革の基本方針=「骨太の方針」を決定した。その中で「食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長の推進」を位置付けた。その意味するところを考察したい。

 新たな骨太の方針では、日本の食料・農業について「輸入に大きく依存してきた中で、世界の食料需給等を巡るリスクが顕在化している」と表している。
 これに対する具体策として、国産の飼料、小麦、米粉の生産と需要の拡大を盛り込んだ。また、生産資材の安定確保や、価格が急騰する肥料対策の構築も検討するとした。
 「みどりの食料システム戦略」に基づく新技術開発や有機農業を推進し、国内生産の維持・拡大のために輸出促進の支援を強化する。
 食料自給率向上を明記し、将来にわたる食料の安定供給に向けた総合対策を構築するという。
 だが、これで国産が大事にされるとか、農業政策が手厚くなると喜べるような話ではない。

安全保障の強化

 骨太の方針全体を貫く核心は、「国際環境の変化へ対応」した「外交・安全保障の強化」だ。
 「我々はこれまでの延長線上にない世界を生きている」という書き出しに始まり、情勢は「地殻変動的に」「一変した」という認識のもとで「外交・安全保障双方の大幅な強化が求められている」としている。その中で「防衛費の抜本的強化」が明記されている。
 戦争・軍事予算確保を一切に優先する戦時財政への転換として骨太の方針はあるのだ。
 そして外交・安全保障の強化を軸にして、経済安全保障の強化、エネルギー安全保障の強化を論じ、これに続く形で「食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長の推進」が語られるという展開になっている。
 つまり骨太の方針は、有事=戦争遂行の観点から、食料や農業の取り組みを強化しようというものなのだ。

金もうけとして

 何より書き出しに続く言葉が許せない。
 「我々に求められるのは、この難局を単に乗り越えるだけでなく、こうした社会課題の解決に向けた取組それ自体を付加価値創造の源泉として成長戦略に位置づけ」「重点的な投資と規制・制度改革」を実施するというのだ。
 具体的な動きがすでに始まっている。
 岸田政権は6月13日、国家戦略特区諮問会議を開き、新たに講ずべき具体的な施策として、企業による農地取得の特例の全国展開と農地所有適格法人の出資規制緩和を挙げた。
 新自由主義が崩壊した今、岸田政権とブルジョアジーは社会のしくみをぶち壊し、まるごと軍需経済に変えて延命しようとしている。
 骨太の方針による食料安保の強化、農林水産業の「成長」は戦争のためのものだ。骨太の方針を粉砕し、改憲・戦争に突き進む岸田政権を打倒しよう。
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