7・3天神峰樫の木まつりへ 市東さんの農地を守りぬき 戦争へ進む岸田政権倒そう

週刊『三里塚』02頁(1090号01面01)(2022/06/27)


7・3天神峰樫の木まつりへ
 市東さんの農地を守りぬき
 戦争へ進む岸田政権倒そう

(写真 南台畑からデモ【昨年7月の第4回まつり】)

(写真 市東宅中庭の樫の木の下で【昨年7月の第4回まつり】)

(写真 シンガーソングライターの川口真由美さんが熱唱)

 岸田政権は軍事をすべてに優先する経済財政諮問会議の「骨太方針22」を閣議決定し、大軍拡・改憲・戦争へと突き進んでいる。さらに、NATO首脳会議に日本の首相として初めて出席し、米欧帝国主義との軍事同盟を強めようとしている。断じて許すことはできない。インフレは戦争の合図に他ならない。利益を生み続けなければ死んでしまう独占資本は、平和的なモノの生産ではもうけが出ないために、今や公然と国に武器を売って生き延びようとしている。軍需産業で生産される武器は戦争で人間の死を生産する以外何も生まない。最後の段階に突入している資本主義に引導を渡すための労働者と農民の団結を築いてきたのが三里塚56年の闘いだ。7・3第5回天神峰樫の木まつりに向け、三里塚芝山連合空港反対同盟のお二人から話を伺った。

私には耕す権利ある
 敷地内天神峰 市東孝雄さん

 日頃の皆さんのご支援に心から感謝しています。私の農地をめぐる裁判は、「請求異議」の方は昨2021年6月に最高裁で上告棄却され、不当判決が「確定」した状態です。
 NAA(成田空港会社)は「自分が地主だ」と言い張り、私に農業をやめて出ていくよう迫っていますが、空港公団の時代から数々の不法・違法・脱法に手を染め、小作者である私の父・東市にも隠して行われた農地の買収・取得は、まったく無効です。このNAAの悪行を不問に付して、彼らの言い分をそのままなぞり強制執行にお墨付きを与える判決になど、従うわけにはいきません。
 一方、「耕作権裁判」の方は十数年たった今も千葉地裁で一審が続いています。この裁判では、私はNAAの土地を無断で耕している「不法耕作の男」として訴えられています。
 本当に怒りに堪えません。しかもNAAは、土地の位置特定を誤って裁判を起こしたので、その間違いをごまかすために今になって、「市東東市は地主に無断で石橋家と土地交換を二度やったに違いない」などと憶測で主張し出しています。
 私の天神峰と南台の畑は、祖父の代から耕作を続けてきた農地で、すべて私に耕す権利があります。もちろん旧地主・藤﨑さんの了解のもとで耕してきて、地代を納めることも欠かしたことはなく、その私に「不法」の汚名を着せるとはこれ以上の侮辱はありません。
 また、私の天神峰農地に建つやぐら、看板をめぐる「新やぐら裁判」の控訴審がいよいよ9月2日に判決を迎えます。
 成田空港を造るのは国策だから私のような農民には何をやってもよい、そういう理不尽な考え方、態度を私は許すことができません。そんなやり方を50年以上も続けてきた成田は、新型コロナの影響もあって今や閑古鳥が鳴いています。たとえコロナが収束しても、かつてのような航空需要は戻ってきません。それなのに、芝山町の大きな農業地域をつぶして第3滑走路を造る計画を実行に移そうとしています。とんでもないことです。
 私はこの天神峰の地で、どんな攻撃が来ようとこれからも農地を守り農業を続けていきます。そしてみんなに「おいしい」と喜んでもらえる完全無農薬野菜を作り続けます。全国で闘っている労働組合、住民団体、市民運動、学生の方々と手を組んで、農民の権利を守り戦争に反対します。
 第5回を数える7・3天神峰樫の木まつりにぜひお越しください。そしてこの地に立って、空港ではなく農業こそが人々の生活と将来のために大事で必要であることを、直接感じてもらえればと思います。お祭りですので、制限された中ですができる限り皆さんをもてなす用意をしてお待ちしています。

闘う仲間が集う場に
 敷地内東峰 萩原富夫さん

 ----2017年に樫の木まつりをはじめて呼びかけた当初の思いについてお聞かせください。
 市東さんが耕し生活している天神峰を心から共に守りたいという気持ちになってほしい。そのために、現地に足を運んでいただき、少し余裕をもって畑を回ったり、ゆったりとした楽しい時間を市東さんの庭で一緒に過ごせる場をつくり、この土地をまずは好きになってもらえればと。
 ----「まつり」と打ち出した理由について。
 みんなで食べ物を持ち寄り、歌ったり踊ったり、出店が出たりと、全国どこでも地域づくりの一環としてやっていることですよね。全国集会などでは時間の都合もあって発言を絞らざるを得ないですが、まつりでは多くの人にそれぞれの思いを語ってもらったり、何かを披露してもらうことで、双方向的な場になればと。また、2013年から始めた空港周辺情宣一斉行動で知り合った住民の方にも気軽に来てもらえるような交流の場として企画したんですね。
 ----なぜ「樫の木」なのですか。
 この土地にちなんだネーミングにしたいなと考えました。遠くからも見えるこの大きな樫の木は市東さんと共に育ってきた天神峰のシンボルです。その土地、この土と共に育ってきたという思い入れがあり、運動のイメージにもシンクロすると思いました。ちょっと詩的な表現ですが、「しっかりと大地に根を深く広く張る天神峰樫の木のように」空港反対運動も広げていこうと呼びかけたわけです。
 ----毎年楽しみにしてるという声を聞きます。
 定着し、参加者も増えていてすごくうれしいですね。以前学生さんが律動を披露してくれたように、参加者自身がまつりを盛り上げる企画や出し物を企画し、準備してもらえればもっといいですよね。僕も歌を歌います。今はコロナ下で難しいですが、焼きそばやかき氷も好評でした。
 ----国際連帯の場にもなりました。
 韓国の済州島で第2空港反対を闘う人たちがたまたま第1回に来てくれて、現闘の小山衛一さん(故人)がハングルができたから交流もできてすごくよかったですよね。今もつながっていて、一度空港建設が中止になったはずですが、その計画がまた復活しているみたいなんですよね。
 ----今年のまつりにかける思いを。
 やっぱり多くの人が集まって「天神峰を守るぞ」という力を見せるということが非常に大事です。空港側としては機能強化と一体のものとして市東さんの農地を取ろうとしている。これ以上、空港のために農地をつぶし環境破壊するのはやめろと、機能強化との闘いを一つにして天神峰を守っていきたい。
 市東さんの農地問題だけを個別に言うと問題がかえって小さくなっちゃう。「もう出ていけばいいじゃない」「そんなひどい環境の中で、がんばらなくたって」と言う人もいる。やっぱり空港そのものの問題性、機能強化の問題性と一緒に考えることで、ここでがんばって機能強化・空港拡張に反対し、農地取り上げ・農業つぶしに反対することの意義を訴えていくことで市東さんの農地が守られる。
 ここで市東さん個人ががんばるのは大変だという面はあるんだけど、やっぱりこれが全ての人にとって大事だなと考える根拠は、空港が抱えている様々な問題があるからです。
 市東さんを応援する、市東さんの生活を守るということの大切さが、空港問題と一体となることで、闘いの正義性、モチベーションを担保できる。闘う気持ちを維持するためにも、その大きな意義、大義を明らかにする。市東さんの存在の意義を明確にすることで、自信もってあそこで生活していけると。
 温暖化問題なんかはもっと早く気付くべきだった。全然意識がそっちにいっていなかったから。
 樫の木まつりから「地球環境の破壊と温暖化をもたらす全ての空港拡張計画の白紙撤回を求める署名」を全国・全世界に本格的に呼びかけたいと思います。
 日本政府ですら、2030年までに2013年比でCO2を半減(約46%)させると公言せざるを得ない状況です。
 そんなときに空港を拡張している場合じゃないと。他の産業だって、いろいろ対策しないといけないのに。航空産業だけ、もっと飛ばそうなんていうのはありえない。
 今すぐ取り組むべき課題として空港機能強化の白紙撤回はもちろん、今現在の飛行回数を2013年比で半減させないといけないわけです。
 ----成田空港の2013年の総発着回数は22万1692回でした。
 じゃあ、単純に計算しても最低11万846回以下に抑えないといけないわけです。それを具体的に突きつける。
 他方で農地の重要性はますます明らかです。ウクライナ戦争をきっかけにした世界的な食料危機の中で優良な農地をつぶすなどもってのほか。
 空港を縮小し航空機を飛ばさなければ、騒音下住民との連帯も強まります。そういう中身をもった署名を攻勢的に広げたい。
 ぜひ樫の木まつりにお集まり下さい。

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