大地の響き　投稿コーナー

三寸あやめを植える
　三多摩　新井佳世子

　星野文昭さんが獄死させられて３年が経ちました。３年前のあの日、私たちは昭島の医療センターに駆けつけ文昭さんの無事を祈りながら「暁子さんを文昭さんのそばにいさせろ！」と闘いました。自らの命をかけてアクリル板を越え暁子さんの手を握った文昭さん。その温もりがその後の暁子さんを支え、私たちに生きる事、闘う事の強さを遺して下さいました。
　文昭さんの分骨を終えた暁子さんが「文昭のお墓にあやめを植えたい」と仰っていたのがずっと心に残っていた私は、今年ようやくその願いを実現する事が出来ました。三里塚にある文昭さんのお墓には手入れの行き届いた色とりどりの植物が咲いていて一年中賑やかです。暁子さんのご実家にもあやめが咲いているそうで生命力の強さがお好きだと仰っていました。三寸あやめは多年草で自ら株を増やして群生していきます。まるで労働者階級みたいですね。
　あやめの花言葉には「希望」「良い便り」などがあります。国賠闘争は刑務所医療を根本から問い直す闘いとして大きく発展しています。国の責任を認めさせ、謝罪を勝ち取り、文昭さんに「良い便り」を届けたいです!!
　この日は朝から雨だったのでにんにくの皮むきをしました。人の心の皮はこんなにスルッと剥けませんが、剥こうとする努力を惜しまず実践していきたいと思いました。

農民の身体と知の営み
　千葉　内山くるみ

　天神峰カフェ、初めて参加したのは４月10日。まだ、桜があちこち咲いていた。
　そして、今回２回目の５月29日。桜より若葉派の私には、最高の季節。快晴で気温が高く、太陽の日差しが若葉にふりそそぎ、その木漏れ日の美しさ。樫の木に守られた天神峰カフェは涼しくて、市東さんの野菜で作ったサラダやキャベツの浅漬けと、コンビニのおにぎりがめちゃ美味しかった。
　今回は、空港に向けた看板を描く作業が予告されていたが、すでに看板はできており、それを設置するという。英語の看板だ。 Close the Airport! シンプルだ。the じゃなくてthisのほうがいいんじゃないかとちらっと思ったけど。
　建築工事用の足場のような枠組みのパイプやジョイントの取り換えもあって、暑い中、作業は長時間かかっていた。結果、わずか空港の敷地から数十センチのところに見事な看板が取り付けられたが、空港に向けて設置されたので、こちらからは全容が見えないのが残念。強制収用予定地内の形状変更になるのだが、空港側も見ていても何も言わないし、こちらでは、手持ちの工具で、素人が手探りで和気あいあいと作業をしている。どこの誰が強制収用なんて茶番を言ってるのか？　50年も経てば、空港は消滅時効ではないか。
　もう、時代は空港を必要としていない。必要としているのは農地だ。食料自給率が30％台の国で、野菜も中国、メキシコ、オーストラリア産などが日常となってきた。魚はアフリカ、最近はウルグアイ産の牛肉には、たまげた。東京湾では首都圏で充分供給できるほどの魚がとれるのに、埋め立てで漁業をつぶしてしまい、牧場はゴルフ場に、広大な畑は空港にして、ひとたび戦争や感染症パンデミックが起きれば、食料の値上げや品不足。私らは、食料の代わりに空港を食することができない。微生物やバクテリアじゃないのだぞ。動物が食料不足になると、いとも簡単に絶滅危惧種になるが、君臨している人間も食べものを買うお金がなくなれば飢える。この国では労働者の賃金はこの20年間、実質的に下がってきた。貧困で飢える人がかなりの勢いで増加している。
　私は看板設置グループには入らずに、市東さんの南台の畑や、開拓組合道路、東峰神社などを車で案内してもらった。私自身、農薬を使わずに自家製野菜を作っており、市東さんのお手本のような畑はずいぶん参考になる。どれくらいのサイズの苗をどれくらいの間隔で植えるのか？　土は？　堆肥は？　生えてる雑草の種類...きりがない。
　天神峰の畑でキュウリの苗の植え付けをしている市東さんの身体の使い方まで凝視して、もうすっかりサーファー並みの市東さんの日焼けした腕に感動した。すごい人だ。農民の身体と知の営み。農民を大事にしろよ、ゼレンスキー、プーチン、キシダよ。
　今回は初めてだという１名と同行した。他にも興味をもちそうな知り合いが何人かいる。現地を初めて見ると、ショックを受けて心がざわざわする。そのざわざわ、モヤモヤに紹介者は向き合わなければならない。
　でも、傍観者でいられないというのは希望だと、帰り道、私は同行した30代の女性に言ったのです。