明日も耕す 農業問題の今 「農業消滅」危機感を共有 守る会茨城で議論活発に

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週刊『三里塚』02頁(1085号02面04)(2022/04/11)


明日も耕す 農業問題の今
 「農業消滅」危機感を共有
 守る会茨城で議論活発に


 3月13日、市東さんの農地を守る会・茨城の総会(本紙前号)に参加した。筆者は三里塚の現地報告を行ったが、『農業消滅』(鈴木宣弘著)をテーマとして全国農民会議・Sさんの話を聞けたのが大きな収穫だった。

 『農業消滅』をSさんが手にしたのは、小欄の記事がきっかけだったそうだ。筆者が門外漢なりに農業問題に食らいついてきたのも悪くなかったと望外の喜びである。
 きっかけはどうあれ、現場に携わっている方の話はリアルでわかりやすい。短い時間の中で、食料危機の問題や食料自給率の話、さらには貿易自由化、種子法廃止、種苗法改定の問題についてポイントを押さえた話をされ大いに参考になった。

ウクライナ戦争

 何よりも、「農業消滅」への危機感は、多くの人と共有できると感じた。
 日本が飢餓になるかもしれないという本の中身は、ウクライナでの戦争で、より現実味を増している。世界の流通量の3割を占めるロシアとウクライナの小麦が動かなくなったら、小麦の9割を輸入している日本はどうなるだろうか。
 昨年、コロナ禍で外食等の米の消費が落ち込むからと、政府は米の生産量を減らさせた。Sさん曰く、「要するに『米作るな』と言ったわけですね。だけど、昨日の農林水産大臣の記者会見では、『小麦が入ってこないかもしれないから皆さん、米食って下さい』って言うわけですよ。小麦が入ってこなくなった時に『米作れ』と言っても、つくる人もいなければ田んぼもないということになりかねない」と。
 デタラメな農政への怒りに会場からも共鳴。「食べていけないです。本当に田んぼだけだと赤字です」「要するに資本主義の問題。農業消滅っていうより人類消滅、人間消滅だって思う」「あらためて市東さんの農地問題の大きさ、自分たちにとってもすごく関わりのあることだと感じる」など、意見が述べられた。口を開けば怒りが飛び出す情勢だ。
 さらに、労働者に農業問題を知ってもらうことの大事さを感じた。

労農連帯の深化

 会場から「この本は郵政とか民営化についても書いてある。国がやっていた事業を民間に任せることで、種子法などは、結局そこがポイントだと」という発言があった。すかさず動労水戸の石井真一さんが続く。「鉄道は民営化して、北海道とか日本海の方とか、東日本でもどんどん路線が減らされている。それが農業にも広がってきていることではないか。農業もやる人もいなくなってきている。金もうけの新自由主義は本当に崩壊だなと思う」などと議論がはずんだ。
 労働者から見た農業問題への意見は「なるほど」と思う。こういう討論を通して、労農連帯を進められるのではないか。
 各地で市東さんの農地問題を取り上げ、討論、交流の場をつくろう。
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