明日も耕す 農業問題の今 「食料安保」は戦争のため 基本法改悪を狙う自民党

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週刊『三里塚』02頁(1083号02面05)(2022/03/14)


明日も耕す 農業問題の今
 「食料安保」は戦争のため
 基本法改悪を狙う自民党


 農水省は昨年1月、新型コロナの世界的な感染拡大を受けて、緊急事態食料安全保障指針を改正し、食料供給のリスクに「感染症の流行」を追加した。コロナ禍で活発化した食料安全保障の論議が今、加速している。
 食料自給率37%で、いざという時に安定供給ができるのか、気候変動も含めて懸念が増えている。今通常国会でも食料安全保障が論点となっている。
 自民党は2月24日、「食料安全保障に関する検討委員会」(委員長=森山裕元農相)を発足させ、農水省は2月25日、「食料安全保障に関する省内検討チーム」を立ち上げた。岸田首相は2月25日の参院予算委員会で、食料安全保障をめぐり「国内で生産できるものはできる限り国内で生産していくことが重要だ」「足腰の強い農林水産業を構築していきたい」と述べた。

ウクライナ情勢

 議論が活発化している背景に、言うまでもなくウクライナ情勢がある。
 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本農業新聞は社説で「食料安全保障を国の柱として明確に位置づけるべき」と主張した。エネルギーや資材、穀物などの海外依存から脱却し、十分な予算措置で自給率を上げ、今こそ国内農業を復活させるべきだと主張する。
 なるほど農業切り捨てを許さず、国内農業を大事にしなければならないことはその通りだ。しかしだからといって、岸田政権の食料安保にくみするわけにはいかない。
 食料安保とは文字通り戦争問題だ。戦争をやるために食料をいかに確保するかの問題が根幹で、農業・農村を大事にすることとは全く違う。
 食料安全保障政策の根拠となる食料・農業・農村基本法は、1999年に日米新安保ガイドライン関連法、周辺事態法の制定とともに成立した。
 食料安保と市場原理の徹底導入で戦後農政を一変し、破壊・解体する攻撃だった。
 輸入が完全に途絶えた場合にはイモ類を主食とし、その栽培に河川敷やゴルフ場を活用する——同法にもとづいて当時政府が策定した「不測時の食料安全保障マニュアル」には、戦時そのものの内容が記されている。

改憲攻撃と一体

 こうした安全保障の「基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする」と、農民に戦争協力を強制することが同法の本質なのだ。
 前述の森山委員長は、「食料安保政策の検証や今後の見通し、新たなリスクの再整理などを行う時期にきている」と強調する。そして食料・農業・農村基本法について「制定から20年以上が経過している」から「新しく作るべきもの、改正すべきものがあればしっかり取り組む」と述べ、より有事に対応したものに改変しようとしている。
 岸田政権の食料安全保障は、戦争・改憲攻撃と一体のものだ。ウクライナでの戦争に乗じた岸田の戦争体制づくりを許さずに闘おう。
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