天神峰カフェ フィールドワーク B滑走路延伸予定地を調査 地形・水系を破壊する巨大難工事を実感

週刊『三里塚』02頁(1083号02面04)(2022/03/14)


天神峰カフェ フィールドワーク
 B滑走路延伸予定地を調査
 地形・水系を破壊する巨大難工事を実感

(写真 市東さん宅離れ前のカフェに集合)

(写真 NAAパンフのB滑走路工事概要)

(写真 B滑走路の誘導路改修工事現場)

(写真 地図で確認しながら現地を調査)

(写真 東関東自動車道をまたぐ進入灯)

(写真 延伸滑走路予定地北端に打たれたクイ)

(写真 現地調査を終えて反対同盟3氏が歓談)


 2月27日、三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する天神峰カフェが開かれ、成田空港機能強化の一環であるB滑走路1000㍍北延伸(3500㍍化)予定地のフィールドワークを行った。成田空港会社(NAA)は今秋にも準備工事を始めると公表している。
 昼下がりの晴天のもと、反対同盟、支援連絡会議、首都圏の仲間たち15人が天神峰の市東孝雄さん宅離れ前の中庭に集い、まずはコーヒーとお菓子で和やかに歓談。
 決戦本部長・太郎良陽一さんの司会で、事務局員の伊藤信晴さんが、芝山町による集会場貸し出し拒否との闘いにおける勝利を報告した。
 さらに決戦本部の仲間から、空港周辺で騒音被害を受けている住民が夜間の飛行禁止と損害賠償を求めて訴訟に立ち上がろうとしていることが報告された。
 太郎良さんは、決戦本部の泊まり込み体制をつくって約1年、強制執行を実力で阻んできた勝利の上に、空港の危機を見すえ今後も監視を続けることを訴えた。
 現地闘争本部の同志がつくったカラー地図の資料が配られ、参加者一同は車に分乗しフィールドワークに出発。

東関道を地下化

 最初に到着したのは十余三の「東雲(しののめ)の丘」。現B滑走路の北端付近に位置し、離着陸する飛行機を見物する公園として作られた場所だ。ここからは現在行われているB滑走路誘導路の整備工事が見渡せるが、この日は日曜日で重機などの動きはなし。
 さらに北へ向かい東関東自動車道を横断する。
 暫定滑走路として供用開始されたB滑走路はこれまでも2度にわたる北延伸を行い、進入灯は東関道をまたぎ北側に続いている。交通量の多い東関道の真上を横切って飛行機は危険な離着陸を行ってきたわけだが、このたびの機能強化で東関道を地下トンネル化して(430㍍)その上に延長滑走路を築こうというのだ。その準備工事として、切り回し道路(仮設道路)をまず造るのだという。現場は激しく起伏に富んだ地形だ。
 NAAの資料によれば、東関道切り回し工事での切土15万立方㍍、盛土6万立方㍍、北延伸造成工事での切土120万立方㍍、盛土330万立方㍍。とてつもない規模の難工事だ! まさにこの地域の地形、水系などをことごとく破壊して行われるものだ。
 参加者はさらに延伸予定地を回りながら、現在の航空保安無線施設とその移転先、延長滑走路の北端地点周囲などをつぶさに見て回った。若干の畑地は残っているが、北延伸予定地の用地買収はほとんど済まされていると言われ、あちこちにNAA所有地の小看板がある。今は穏やかな風景だが、造成が始まれば殺伐とした工事現場に変貌するだろう。

着工阻む知恵を

 3時間に及ぶ現地調査を終え、帰路にはB滑走路東側に位置する「成田市公設地方卸売市場」を確認した。元は花植木センターがあった場所に1月20日に鳴り物入りでオープンしたこの新市場は、国家戦略特区構想に基づく事業として、輸出に必要な大半の手続きをこの場で完結できる「ワンストップ輸出機能」を備えているとのことだが、すべては右肩上がりの航空需要が前提だ。
 機能強化ともども、航空バブル破裂後の過剰巨大施設として残ること必至だろう。
 参加者は再び市東さん宅の中庭に集合して感想を述べ合い、続けて第3滑走路予定地でもフィールドワークを行おうと確認しあった。東峰の萩原富夫さんは、「気候変動を一層促進する工事をやろうとしている。創意工夫をこらして工事を阻む知恵を出し合い、機能強化を白紙撤回に追い込もう」と述べた。
 最後に伊藤さんが芝山町政を批判し決意を述べた。「相川は空港機能強化で町が潤うことをあてにして、農水省の『農地集約』の事業を進めようとしたが、実際には成田は本当に廃港の危機。農家の将来なんか何も考えていないことに私の住む白桝部落でも怒りが高まっている。徹底的に闘うことが地元農家の人たちに応える道だと確信を持って進もう」

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