明日も耕す 農業問題の今 「みどり戦略」法案国会へ 有機農業ブランド化狙い

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週刊『三里塚』02頁(1082号02面05)(2022/02/28)


明日も耕す 農業問題の今
 「みどり戦略」法案国会へ
 有機農業ブランド化狙い


 農水省は2月3日、「みどりの食料システム戦略」の推進に向けて、今通常国会に提出する新法案(みどりの食料システム法案)の骨子を示した。その目玉として報じられているのが「有機農業の団地化」だ。

 昨年5月に策定された「みどりの食料システム戦略」は、持続可能な食料システムの構築をうたい、化学農薬の半減や化学肥料の3割減、有機農業の全農地25%への拡大などを目指すものだ。
 新法案は、この戦略に沿って有機農業に取り組む農家を県が認定し、税制や融資、補助金で支援する枠組みを設けることを柱にしている。そして、農家や事業者、消費者らの理解・連携を基本理念に盛り込んだ。
 この中で、生産者の拡充を目的として、「有機農業の団地化」が提唱されている。
 地域の農家全員の合意の下で協定を結び、市町村が認可するというしくみだ。協定認可後には対象地域で新たに営農を始める人にも、協定に参加してもらうという。

輸出拡大を推進

 有機農業の団地化といっても一般にはなじみのない話だと思うが、すでに地方の行政単位では目標化され、先行事例もあることはある。
 しかし、地域全体で有機農業に転換しようといったら簡単なことではない。現実とのギャップに唐突感は否めない。
 そこで2年前にさかのる農水省の資料をひもといてみると、「複数の耕作放棄地等をまとめて、有機JASほ場に転換する取組を支援」とある。
 なるほど「農業崩壊」で既存の農家がどんどんやめざるをえない中、地域丸ごと再編しようというわけだ。
 「有機農業は、(中略)その農産物の付加価値を高め有利販売につなげることができる取組であることから、その面的拡大に向けた取組を支援します」とあるように、有機農業の団地化でめざされるのは有機農業のブランド化だ。
 そして「輸出拡大推進に貢献」することをねらうものだ。政府は国際的な有機農業流通のルールづくりへの参画をめざしており、そのためにも国内の有機農業を広げなければならないのだ。

闘いの「連携」を

 政府が進める「輸出拡大推進」のための有機農業と市東さんの行っている産直会員の命に責任を取る有機農業は似て非なるものだ。
 昨年末、全国農民会議共同代表の小川浩さんが仲間と開いた講演会で、東京大学大学院教授の鈴木宣弘さんは、みどり戦略の目標について「今まで有機農業で頑張ってきた人たち、それを支えてきた消費者の皆さんの努力が報われた」結果でもあると述べた。そして、「やり方だと思うんです。有機農業のいいところをみんなで広め、頑張って生み出してきた農法をみんなが共有できるしくみをしっかりつくること」が大切だと説いた。
 闘う農民の「連携」を強化し、生きるために立ち上がろう。
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