「相川前町長の施設貸し出し拒否は違法」 芝山町で処分撤回の大勝利 3・14新やぐら控訴審へ 改憲・戦争と農地強奪を許さない

週刊『三里塚』02頁(1082号01面01)(2022/02/28)


「相川前町長の施設貸し出し拒否は違法」
 芝山町で処分撤回の大勝利
 3・14新やぐら控訴審へ
 改憲・戦争と農地強奪を許さない

(写真 芝山町議会で申請却下処分撤回を採決【16日】)

(写真 記者の取材を受ける審査請求人の伊藤信晴さん)

 ウクライナをめぐる軍事対立は一触即発の危機だ。戦後世界体制の最後的崩壊の危機に焦る米日政府は中国侵略戦争への衝動をますます募らせ、核戦争をも辞さない具体的準備を進めている。岸田政権は改憲に向け、野党総屈服情勢を背に6兆円を超える大軍拡予算を通し、先制攻撃すら合法化するという次元を画する攻撃に打って出ようとしている。だが、階級支配の破綻点=沖縄・福島・三里塚はじめ全国の労働者人民が岸田の戦争・生活破壊に怒り、闘う方針を求めている。三里塚芝山連合空港反対同盟は、芝山町による集会会場貸し出し拒否攻撃を完全に粉砕した。これに続き、正念場を迎えた市東孝雄さんの農地死守決戦に何としても勝利しよう。3・14新やぐら控訴審―3・27芝山現地闘争に駆けつけよう。
 2月16日、反対同盟の伊藤信晴さんと支援連絡会議の仲間は第1回芝山町議会臨時会の傍聴に駆けつけた。
 開会後、麻生孝之芝山町長が予算に関する3つの議案を提起。その後、審査請求を承認する裁決のための諮問第1号を読み上げた。
 諮問の内容は、「芝山文化センター使用承認申請却下処分について、地方自治法に違反する処分であり、本却下処分を取り消すものとする。また裁決に併せ、本件申請を承認又は条件を付して承認するよう命ずる」
 裁決の根拠は「使用承認申請を却下することは、地方自治法第244条第2項で定める『正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない』という条文に該当せず、地方自治法に違反する処分と判断したため」
 続いて、議長が議案と諮問について、担当課長の補足説明と質疑、討論を促したが、議員は誰一人手を挙げることなく沈黙し座ったまま。ただちに採決へと移った。
 3つの議案の採決を行った後、全員協議会を開催すると宣言して休憩。ここまでわずか15分。
 数分で再開し、局長が答申案を読み上げた。「芝山文化センター使用承認申請却下に係る審査請求は諮問の通り、これを認容すべきものと考える」。議長が「賛成の方の起立を求めます。起立多数であります。よって諮問第1号は諮問の通り認容されました」と宣言し、ついに相川勝重前町長の反対同盟への会場貸し出し拒否が「違法」として確定した。
 閉会後、取材に訪れたマスコミに伊藤さんは、「却下取り消しは当然のこと。ただ、結論を出すまであまりにも長い。相川前町長が辞めるまで引き延ばしていたとも言える。非常にずさんでデタラメな行政が行われていたということ」とコメントした。
 この処分撤回の勝利を受け、夕方に開かれた反対同盟事務局会議で3月の芝山現地闘争は改めて芝山文化センターで集会を行うことを確認した。
 翌朝の新聞報道で知った住民から審査請求の勝利を喜ぶ声が反対同盟に多数寄せられた。

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審査請求をめぐる経過
 空港反対運動に対する集会妨害と言論弾圧

(写真 昨年の3・28芝山現地闘争で芝山町役場を包囲)

(写真 相川勝重前町長)

 昨年1月5日、事務局の伊藤信晴さんが、反対同盟主催で成田空港機能強化反対を呼びかける3月集会を行うために芝山文化センターの使用申請のために役場を訪れたが、回答を濁された。
 1月15日、「芝山町の中心部で空港反対派が集会をすると近隣住民が不安に思うから」との理由で断られる。抗議しつつ同日、中心部ではない「やすらぎの里」を申請するも「慣例で貸せない」と断られる。20日、芝山公園を借りる手続き中に、突如「町長判断で貸せない」と断られる。
 2月9日、口頭ではらちがあかないため正式に芝山文化センターの使用申請書を提出。
 2月18日、相川勝重芝山町長(当時)が使用承認申請却下通知書を送りつけてきた。
 却下の理由は「成田空港をめぐるこれまでの経緯に鑑み、貴団体が本行事を行うことにより文化センターの管理運営に不安が生じるため」と、わずか一行半。具体的な理由が一切書いていない木で鼻をくくったような通知書に反対同盟の怒りが爆発した。
 3月10日、反対同盟は相川町長宛に却下理由を具体的に明らかにするように求める申入書を提出。同日、芝山町民であり使用申請を行った伊藤信晴さんが行政不服審査法にもとづき却下処分の取り消しを求める審査請求を行った。
 3月12日、審理手続きを行う審理員4人を相川町長が指名。

理由はでたらめ

 3月26日、芝山町から申入書への回答と審査請求に関する補足説明。
 「成田空港をめぐるこれまでの経緯」とは、①1984年3月の芝山町議会での議場乱入、②2017年9月の芝山町議会臨時会で「成田空港機能強化(案)から生活を守るための請願」が行われた際、貴団体関係者と思われる人物による偽名での傍聴が行われたというもの。
 「どのような不安が生じるのか」については、「施設の破損」「コロナ禍における広範囲からの不特定多数の入場」「貸館に伴うルールの徹底が図れない恐れ(氏名・連絡先の把握)」とし、想定している「管理運営上の支障」とは、「濃厚接触者の追跡調査ができない」「大声での歓声や掛け声」というものだった。
 とんでもない言いかがりの数々だ。
 ②については、そもそも芝山町議会は反対同盟の主催ではなく、まったく関係のない事案を予断と偏見で結びつける悪質なこじつけだ。だいたい「反対同盟の関係者と思われる人物」が反対同盟の主催する集会で偽名を使う必要はないのだ。
 また、町は卑劣にも新型コロナ感染防止という使用申請時には説明しなかった後付の理由を持ち出してきた。だが、感染対策は反対同盟の責任で十分にできるもので、理由になっていない。
 4月20日、相川町長からの弁明書と証拠書類の提示。弁明書の内容は上記の反対同盟への回答、補足説明と同じ。
 4月26日、伊藤さんが証拠書類の閲覧を要求。
 5月18日、審理員から閲覧許可の決定通知。

首謀は相川本人

 ここで、町が作成した反対同盟とのやり取りの経緯(一部)と①の1984年3月定例議会会議録の写しが手に入った。
 会議録をみると、なんと定例議会での議場乱入事件は、83年3・8分裂で反対同盟から脱落した熱田派の町議となっていた相川本人と石毛博道が、ドアを蹴破って乱入した石井新二と共謀して引き起こしたものだったのだ。自らが首謀者であった事件を持ち出して、反対同盟への会場貸し出し拒否の理由とする相川の厚顔無恥、悪質な所業が明らかになった。
 6月18日、芝山町に反論書を提出。
 8月19日、審査請求の口頭意見陳述が芝山町役場で行われる予定だったが、新型コロナ感染拡大を受け、延期。
 9月16日、芝山町役場南庁舎で伊藤信晴さん、反対同盟事務局の太郎良陽一さんが口頭意見陳述を行った。
 審理員は当初傍聴を認めていたにもかかわらず、反対同盟が傍聴を呼びかけたことで「不特定多数の傍聴希望者が参集し、審理の妨げになる」と直前に拒否。会場貸し出し拒否の当事者である反対同盟の萩原富夫さんも駆けつけ弾劾したが一人の傍聴も認めなかった。密室の中ではあったが、伊藤さん、太郎良さんが2時間近く堂々と貸し出し拒否の不当性とその撤回を訴えた。
 12月6日、審理員が「(使用申請却下)処分は取り消されるべき」との意見書を山武郡市広域行政組合(上級審査会)に提出。同日、相川町長は退任。
 山武行政組合は芝山町に「公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求については、議会に諮問しなければならない」(地方自治法第244条の4第2項)を経ていないことを指摘。町議会で諮問、裁決することを求めた。
 今年2月16日、芝山町議会臨時会で麻生孝之新町長が審査請求について却下処分の取り消しと使用申請承認を命ずるよう議会に諮問し、諮問を認める答申案を賛成多数(賛成8、反対3、欠席1)で採択した。

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