「農地死守・空港廃港」で2022年決戦勝利を 三里塚反対同盟新春座談会 第3滑走路=軍事空港建設を労農学の実力で粉砕しよう

週刊『三里塚』02頁(1078号01面01)(2022/01/01)


「農地死守・空港廃港」で2022年決戦勝利を
 三里塚反対同盟新春座談会
 第3滑走路=軍事空港建設を労農学の実力で粉砕しよう

(写真 10・3全国集会を開き、反対同盟を先頭に成田市栗山公園からデモに出発)

(写真 誘導路をへの字に曲げている南台農地で大根の収穫に励む市東さん【反対同盟DVDより】)

(写真 座談会後にこぶしを固め2022年決戦の勝利を誓った)


 2022年は、「戦争か革命か」の歴史を分かつ大決戦の年だ。とりわけ、東アジアをめぐる日米帝国主義による中国侵略戦争策動と対決し、それを打ち破る階級的労働運動と学生運動、農民運動の大隊列を荒々しく登場させよう。国家権力と対峙し56年。新自由主義攻撃にも負けない団結を維持してきた三里塚闘争の真価を発揮する時は今だ。市東孝雄さんの農地取り上げ強制執行を絶対に許さず、成田空港機能強化を粉砕しよう。軍事空港建設を阻止しよう。「農地死守・実力闘争」の原則を守り闘う三里塚芝山連合空港反対同盟と全国農民会議の新春座談会で、闘う決意を語っていただいた。

同盟の団結が勝利の要因

(写真 市東孝雄さん)

 萩原 昨年は10月の全国集会が例年よりも結集が増えました。3月の芝山現地闘争にも多くの人に参加していただき、インパクトのある闘いができました。芝山町の会場貸し出し拒否の問題について粘り強く闘い、「処分は取り消すべき」との意見書も出ました。
 裁判についても6月に請求異義が最高裁で上告棄却決定を下されましたが、耕作権裁判や新やぐら裁判を粘り強く闘いながら強制執行を阻み続けています。
 全国集会の基調報告でも訴えましたが、長い闘いの中で、今市東さんが踏ん張り、反対同盟全体が団結して闘い続けていること。これが昨年の勝利の一番最大の要因です。コロナ状況が空港を破綻的な状況に追い込んでいることもありますが、やはりわれわれが闘う中で起きている事態です。
 資本主義の危機と成田空港の危機は一体であり、闘って資本主義体制を破綻に追い込む中で三里塚闘争も勝利していくという関係があります。
 資本主義の経済危機はわれわれにとっては新たな社会を作り出す上での好機と喜びをもって闘いたい。生活はいろいろ大変ですけど、新しい社会をつくるために共に乗り越えたい。
 伊藤 資本主義は危機であるがゆえに戦争に突き進もうとしています。改憲・戦争情勢に対して三里塚が「反戦の砦」として沖縄の人たちとも連帯しながら突破し、世の中を変えていける情勢に入っています。
 昨年は木更津オスプレイ配備反対闘争や横田基地反対の闘争に足を運びました。成田の兵站拠点化を阻止する闘いと一体で連携を強めたい。

(写真 萩原富夫さん)

 萩原 みんな、まさか日本は戦争なんかやらないよと思っているけど、自衛隊は島嶼(とうしょ)防衛といってがんがん軍事費も増強し基地建設を進め、沖縄・南西諸島では実戦さながらの訓練がやられています。だけど、核を使うかどうかなんて話になったらみんな怒ると思う。本当に破滅の道だから。世界的大反乱になるし、日本人だって黙っていない。アジアで戦争となれば本当に革命情勢になる。
 市東 昨年はコロナ禍の中でNAAが攻撃を強めてくるかと構えましたが、皆さんの闘いのおかげで、私個人としてはある意味「平穏な」1年でした。裁判も延期に次ぐ延期。耕作権裁判の時にも言いましたが、本来であれば原告NAAが証拠も証人もどんどん出してそれに対してこちらが対応するはずが、まったく逆のおかしな構図になっている。NAAは都合の悪いことは一切言わずに裁判所に全部お任せ。絶対に逃げられないように首っ玉をぎゅっとつかんでこらしめたい。
 農家的には気候変動による長雨や気温上昇で少し時期がずれると種が発芽せず、ちょっと芽が出てもすぐ虫に食われるなどの被害。そちらの方が大変な1年でした。

農業の危機と新自由主義

 司会 小川さんの地元の匝瑳市で開かれた『農業消滅』(平凡社新書)を書いた東京大学の鈴木宣弘さんの講演会には多くの人が集まりました。

(写真 小川浩さん)

 小川 統廃合の問題を抱える農協、共済組合、町の産業課、農業関連のコメの業者など多くの人が参加しました。
 昨年は14年以来の米価暴落で1俵1万円を切るようになり、規模拡大してきた人の中から廃業する人が出ています。
 コロナで外食産業が時短・休業し、外食用のコメが余ったから米価が下がったと言われている。だけど外食しないからといって家でも食べないかと言えば食べるんだよね。ということは、雇い止めなどで首を切られ、3食十分に食べられない人が増えて、その結果余ったというふうに見るべきと思う。
 政府は昨年、過去最大の減反をやれと言ったんだけど、農家はその政府目標をほぼ達成したんだよね。だから米価は下がるとしてもそんなに下がらないだろうという見方が大きかったけど、ふたをあけてみたら大暴落。
 政府の見通しの甘さもあるが、余ったコメを本当に困っている人のところに提供すればいいんです。アメリカだってやっている。だけど、それをやらなかった政府の責任は大きい。
 市東 政府は「一次産業はGDPのうちの数%、そのために他の分野が犠牲になっていいのか」と言って自由貿易協定を進めました。数%に過ぎないと言うなら政府はちゃんと保護すべきですよ。防衛費に6兆も出すくらいなら。

(写真 伊藤信晴さん)

 伊藤 知り合いの農家が自民党大会で「もうやってられない!」と言ったら誰も止めなかった。
 司会 インドでは何十万人もの農民が1年にわたってデモを展開し、政府が企む市場経済の導入をほぼ撤回させました。
 太郎良 決戦本部結成から4年。金、金と言っている今の新自由主義の世の中で、考え方を180度変えなくちゃいけないと思う。「経済成長」はいらないと。いろんな人間関係の中で生産が行われ、脈々とそれがつながってきたから人間は生きられたし今の地球はある。それを資本主義・新自由主義がずたずたにしています。
 三里塚闘争の中には、それぞれ人生の中で大事にしているものと共鳴するものがあるから胸を張って闘ってこれたのだと思う。国家権力と徹底的に闘う闘志、農業問題、戦争反対の拠点......三里塚に学んだ大事なものを持ち、日本中にいる共感できる人たちとどうつながっていくか。日本を変えようというネットワークを作り上げたい。
 そういう意味で、これまで新左翼運動は反戦政治闘争で「反対!」「阻止!」といろいろやってきたけど、押し込まれてきた面も事実としてある。だけど、社会のあり様を根底からひっくり返す内容と闘いをもう一回つくりあげるためにも新自由主義に負けなかった三里塚が重要です。
 今の決戦本部は、集うみんなで、ああしようこうしようと自由に論議をして、そこで方針を出していこうと。一生懸命考えればいろんな発想が出てくる。三里塚闘争に生きがいをもって取り組んでくれる多くの仲間がいて、それは大きな力だと改めて思います。
 萩原 自分だけが何でも決めて動かさなきゃという感覚から抜け出したことで、だいぶ楽になったんだよね。

会場貸し出し拒否撤回へ

 司会 菅が倒れ岸田政権が誕生しました。
 小川 「新自由主義からの転換、新しい資本主義」を掲げて安倍とは違う雰囲気を出している。だけど、軍備増強、憲法改正をどんどん進めようとしている。岸田が安倍よりはましなんじゃないかというような見方をすると逆に強権的にいろんなことがあっと言う間に進められていくことを危惧します。
 萩原 「聞く耳を持っている」ことを売りにしていたくせに、空港問題は一切聞いていない。
 司会 NAAは第3滑走路建設を進めると言いますが、造ったところで展望はありません。

(写真 太郎良陽一さん)

 太郎良 コロナ問題は続いている。第3滑走路、機能強化で年間発着が50万回なんて本当にありえない。芝山の住民も、最初は機能強化でお金が降りてくるなんて夢を持ったかもしれませんが、今ではこれは絶対に無理だと。同盟ニュースなどで訴えてきたことが住民の実感になっています。
 萩原 一斉行動で地道に闘ってきたことがゆっくりだけど着実に実になっていますね。
 司会 だからこそNAAは相川前町長を使って集会を禁圧してきました。
 太郎良 会場貸し出し拒否の撤回について勝てないだろうと思われていたけど、審理員は町の処分の非を認めた。また、市東さん農地への強制執行についてもやると言いながらやれない状況だ。国家暴力を背景にした脅し的な話でも、こっちがしっかり腰を据えて闘えば何もできない。
 相川は自分の手で機能強化を完成させたかっただろうけどできずに辞めざるをえなかった。完全に攻めの時期に入った。ガンガン攻めて3月には大集会をやりたい。
 萩原 3月の芝山集会と一体で空港機能強化の白紙撤回を国交省に求める署名を全世界に呼びかけたい。その際、これまでの闘いの地平に加えて、自然環境を守る三里塚という視点を前面に押し出し、グレタ・トゥーンベリさんらも三里塚に来ちゃうような闘いを実現したい。
 市東 飛行機は使わないから電車で飛んでくる。
 司会 気候変動は農業にも深刻な影響を与えています。グレタさんも自然からの搾取をやめろと強力に言っています。
 萩原 彼ら彼女らが言っている中身についてちゃんと勉強して、全世界に通用する言葉で日本の空港問題についても訴えることで、より広くつながれるのではないか。

自然体でウソをつかずに

 司会 最後に22年決戦への決意、抱負を。
 萩原 今の話の流れから言うと、2022年は三里塚闘争を世界の三里塚闘争にしていく、本当に大事な闘いだという自覚と大きなイメージを持ちながら闘いたい。
 伊藤 昨年は、動労千葉もJR東日本を裁判に引きずり出しました。三里塚闘争陣形全体としては一つの壁を突破した。さらに広げていくためにも、中国侵略戦争情勢の中で三里塚の持つ位置は決定的なので、反戦政治闘争の爆発を共に勝ち取っていきたい。
 市東 昨年、最高裁が強制執行を認めた決定への強い怒りは今も変わりません。今年は、新たな闘い方も考えながら、何としても勝たなきゃいけない。私は農民だから土地がなければ生きていけません。
 22年は私の言葉で言えば、「自然体でウソはつかない」。農業を続けながら空港反対闘争に全国で共鳴してくれる人たちとの連帯を強くして勝利的に闘いたい。
 太郎良 ますます決戦本部を大事にいろんな人や考えが決戦本部に入っていけるようがんばりたい。現地ではある程度できたなと自負もありますが、現地に来れない人もいますのでもっと外の人たちに、大事なことが伝わるものをつくりたい。ご協力をお願いします。
 小川 今残っている農民がここで踏ん張ってがんばらないと文字通り日本の農業が消滅しかねません。新自由主義によって農業がどんどんつぶされる中で、農民同士が競争したり、自助努力だけでは、農業を守れない。農業をつぶすものに対して農民が団結して闘う姿勢をはっきりさせたい。
 今の農業つぶしの象徴が市東さんの農地の取り上げ問題。三里塚闘争56年の闘いは日本全国の農民にとって闘いの羅針盤だ。あらゆる機会をとらえて三里塚との連帯を追求し、そこにこそ今の農政を変え、農民が生きていく道がある。沖縄、福島との連帯、戦争への道を阻止していく労働者のさまざまな闘いとの連帯の中ではじめて農民として生きる道がある。今年もがんばりたい。

このエントリーをはてなブックマークに追加