多古町・所町長逮捕 空港利権で衆院選投票依頼

週刊『三里塚』02頁(1076号01面04)(2021/11/22)


多古町・所町長逮捕
 空港利権で衆院選投票依頼

(写真 逮捕された所多古町長【18日】)

 11月18日、成田市に隣接する多古町の所一重町長(56)が公職選挙法違反(公務員の地位利用など)の疑いで逮捕された。容疑は、選挙運動の認められない衆院選投開票日の10月31日に、町長として複数の同町職員に特定候補への投票を依頼したというものだ。
 所は、自民党・林幹雄への投票を呼びかける目的で投開票日当日に次のようなLINEを送った。
 「政権与党の林候補なくして、成田空港の機能強化は予定通り進みません。林候補は自民党の年齢制限により、比例では当選できません。小選挙区で1票でも負けたら終わりです。あとあと後悔しないように貴重な1票を無駄にしないで下さい」
 背後には、成田空港拡張と多古町の開発利権をめぐる競争と業者の癒着があり、さらに腐敗が暴露される可能性がある。
 所一重は、自民党衆議院議員の公設秘書から町議となり、5期目の2018年、自民推薦で町長に初当選した。当時の現職に対し、「二階俊博(当時自民党幹事長)との親密な写真を二階に無断で使用した」との謀略的キャンペーンも使って町長になりあがった。その後、成田空港拡張の推進者の一人となり、多古町地区の用地買収に邁進し、NAAの手先になっている輩である。その裏では、成田空港周辺国家戦略特区構想などにより、多古町で巨大な開発利権が渦巻き、その獲得を巡って醜い争いが続けられていたのだ。
 成田市以東の衆院千葉10区は、小選挙区が導入されるまでは、定数4人のうち、社会党が1人定席、後の3人を自民党の各派閥が競い合う激戦区で、成田空港利権を背景に金権選挙の典型であった。金まみれで生き残ったのが林大幹(中曽根派)、その息子が林幹雄だ。林幹雄は二世議員そのもので、地元では大した実績も信用もなく、前々回の選挙では落選した。再選はしたものの、最近では二階幹事長の記者会見の際に後ろに立ってテレビ映りに努めていただけの男である。そして衆院選に向けては、当時菅首相との親密さをアピールするつもりであったが、菅が打倒され先行きは見通せなかった。林は自民党の内規の「73歳定年制」で比例に重複立候補しておらず、即落選につながる危機だった。実際の結果も、立民候補に2851票の僅差での当選だった。
 このように成田空港の機能強化計画の行き詰まりに対する推進派の焦りが、選挙違反としてあらわになった。町長の逮捕を受け多古町役場では18日夜、副町長が会見を開いて謝罪する一方、「投票の強要とは感じない」と開き直った。対立候補との票差からして多古町政総体の林支持が、当落に左右する事態であったことは明らかである。住民を食い物にした乱開発計画が、町政の腐敗をもたらしている。ただちに第3滑走路の建設を中止に追い込もう。
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