団結街道
週刊『三里塚』02頁(1073号01面05)(2021/10/11)
団結街道
「主演はジョニー・ディップ」と言うとひどく笑われた▼ディップではなくデップだと。名前の間違いは時に致命傷となる。海賊映画に出ていたことは知っていたのだが…私にとってのジョニーはウォーカー(スコッチ・ウイスキー)と決まっているのだ▼そのジョニ黒、ではなくジョニデがアメリカのフォトジャーナリスト・ユージン・スミスを演じた映画『MINAMATA―ミナマタ』を観た。実話を基にした素晴らしい映画だった。恥ずかしながらジョニー程度にしか知らず、どこか終わった問題として捉えていた水俣病について、改めて考えるきっかけをもらった▼「こん水俣病は偶然でも遺伝でもなか。責任ば問われるべき害悪の根源がはっきりしとる」「責任ば取るまでここは動かん! 責任ば認めろ!」と活動家役の真田広之が鎖で体を門に縛り付けて闘う姿に胸を打たれた▼日本政府は、最初の報告から12年経った68年(それまで廃水は流しっぱなし)に公害認定はしたが、いまだに責任を取っていない(加害企業チッソも)。国は被害調査すら拒んでいる。現在、感覚障害が確認されながら患者認定されない被害者は約7万人。認定を申請した2万2229人(21年7月末現在)のうち認定者は1790人。たった8%だ▼半世紀前、強制収用の対象となった小泉よねさん宅の周りに垣根が作られ、戦闘宣言とともに作家・石牟礼道子さんが水俣から持ってきた怨の旗が立てられた。谷中村―水俣―三里塚……。怨念を晴らす闘いを今こそ。