団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1071号01面05)(2021/09/13)


団結街道


 ニンジンは「芽だし8割」と言われ発芽させるまでが難しい野菜だ▼ニンゲンは「人は見た目が9割」という竹内一郎のミリオンセラーになった新書があったが、言葉だけで通じ合うのは難しい動物だ。「あなたの言う言葉の意味はわかるが、あなたに言われたくない」なんて言ったり言われたり▼ただし、竹内は非言語情報(身体、表情、動作、色、音、匂い等)によるコミュニケーションを総称して「見た目」と呼んでいるのであって、ルッキズム(外見による差別)が許されないことは言うまでもない▼非言語情報(≒「見た目」)の中でも「匂い」が人に及ぼす影響は決して小さくない。『カラマーゾフの兄弟』では尊敬していた聖人=ゾシマ長老の腐臭に主人公・アレクセイは動揺するし、HYの名曲『366日』の歌詞「恐いくらい覚えているの あなたの匂いや しぐさや 全てを」の拭いがたい「見た目」の記憶も印象的だ▼「匂い」からある特定の記憶が呼び起こされる現象をプルースト効果と言うが、今の政治はコロナを奇貨に「匂い」を奪って大切な「記憶」を奪おうとしているのではないかと思う。嘘臭く、胡散臭く、きな臭い政治をコロナ下だからこそ感覚を研ぎ澄ませて嗅ぎ分けたい▼広島の被爆者から平和資料館には匂いがないから想像で補ってほしいと言われたことがある。人が焼けこげ、腐った匂いの強烈な記憶の元凶=資本主義を今こそ打倒しよう。
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