北総の空の下で 気候変動 資本主義こそ元凶
週刊『三里塚』02頁(1070号02面04)(2021/08/23)
北総の空の下で
気候変動
資本主義こそ元凶
コロナ感染の急拡大と豪雨が盆中の日本列島を襲いました。年々猛暑が加速する夏、まさか盆中に前線が居座って広範な地域に豪雨被害が出るとは! 冬人参の発芽の心配がなくなってホッとしたのも束の間、長雨はトマトなどの夏野菜を腐らせ、気候変動の不安を新たにしました。
近年、自然災害で「これまで経験したことのない」との表現を頻繁に聞くようになりました。『人新世の資本論』で話題になっている斎藤幸平さんは、気候変動は資源の大量消費による地球規模の気温上昇が主因であり、資本主義では解決不能と断じています。グレタさんの決起を皮切りに「私たちの未来を奪うな」と若者が行動を起こし、アメリカやイギリスの選挙では社会主義を掲げる候補に若者旋風が巻き起こっています。人が生きるために不可欠な水・空気・食料さえ一部の人間が儲けるために独占する資本主義に未来を託すことはできません。マルクスが『資本論』と未整理の膨大な資料の中に込めた持続可能な社会の形がコロナ禍で再び人心をとらえたのだと思います。
三里塚では55年国策と闘いつつ32年有機農業を続けてきました。養分も地下水も使い尽くして土地を捨てる資本主義の略奪型農業の対極にある農業形態です。資本主義は、循環型農業で主食を担ってきた稲作も切り捨てようとしています。
猛暑の中の農作業は過酷ですが、コロナ禍にマスクなしで深呼吸できる畑はありがたいと思います。
北里一枝