団結街道
週刊『三里塚』02頁(1069号01面05)(2021/08/09)
団結街道
今年の産直の枝豆は鮮やかな緑色で実の入りもよく、独特の香味は爽やかで、味は甘く、私がこれまで食べたどんな枝豆よりもおいしかった▼産直では枝・葉・根付きで出荷。その方が豆の成熟や老化を遅らせ、糖やアミノ酸の減少が抑制され、枝豆本来の香味が保たれるからだ。市販でよく見かける枝から莢(さや)だけをもじいた(千葉の方言で枝から実を取ること)ものとは甘みが画然と違う。莢豆ではなく枝豆たる所以だ▼ところで、レンジや自然解凍よりも茹でた方が実は断然に旨い冷凍枝豆の特許(豆の中心まで塩味を浸透させる技法)を取った日水が他の冷凍食品メーカー6社と裁判で争った「枝豆戦争」と呼ばれる事件をご存じだろうか▼結論は実にくだらない。枝豆は割れば分かるが子葉2枚が合わさったものだ。したがって浸透圧で薄皮を通過した塩分は二つの子葉の間を通って豆の中心まで容易に入る。逆に中心まで入らないように塩味を付けることは不可能に近い。この当たり前の事実を特許庁は見逃し、メーカーもなかなか気づかなかった▼塩味付きの枝豆を他企業には売らせないという資本の強欲さまで保護する特許権。「ジャンボ」「サクサク」など誰しもが使う言葉を私物化して金もうけするための商標権。知的財産をめぐる争いは実に醜悪かつ滑稽だということを元ニチロ専務の松村直幹著『ドキュメント枝豆戦争』が教えてくれた。私有財産は廃止だ。