「棘2 独白」東京上映会に参加 関西生コン支部 武委員長が語る

週刊『三里塚』02頁(1067号02面02)(2021/07/12)


「棘2 独白」東京上映会に参加
 関西生コン支部 武委員長が語る


 7月1日、日比谷コンベンションホールで開かれた杉浦弘子監督のドキュメンタリー映画「棘2独白」東京上映会に参加した。
 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部は、3年ほどで89人が逮捕、71人の起訴、武建一委員長の641日間に及ぶ長期勾留という戦後最大の刑事弾圧と闘っている。
 容疑はごく当たり前の労働組合のストライキを「威力業務妨害」、企業に法令を遵守させるコンプライアンス活動を「恐喝未遂」とするでっち上げだ。ところが検察は武委員長に対して懲役8年という殺人罪級の重罪求刑を行っている。13日に予定される判決公判を前にした緊急上映会となった。
 改憲・戦争に反対するすべての人に心からお勧めしたい。戦争を止める力を持つ階級的に闘う労働組合を解体し、改憲・戦争への道を掃き清めようとする菅政権の意図を粉砕する力がこの作品にはある。
 杉浦監督は、昨年5月29日の武委員長の保釈を聞き、「武さんの声を伝えなければ」と「2年かけた構想をひっくり返してゼロから作り直した」という。武委員長(プラス武洋一書記長)の語りと、労働者階級の闘いの映像で、空前の大弾圧を打ち破り、戦争・改憲を阻止する力のありかを説得的に示している。全力で「棘2」を広げ、階級的労働運動の再生を勝ち取ろう。
 以下、冒頭部分を中心に紹介したい。
 映像は関西生コン支部のユニオン会館のシャッターが開けられるところから始まる。雨が降る中、白いクラウンから出てきた武さんが約2年ぶりの執務室に入る。下ろされたブラインドの窓の向こうには隣接する中央市場の屋上からの監視する警察権力。2017年のストライキ以来不当な監視が続いているという。
 「ふるさとへ帰ったような感じ」「肉体的、精神的エネルギーを集中して自分の居場所を闘いによって確保する」「心にしわをよらさない」「やるべき使命がたくさんある」と決意を語る武さん。後ろの壁には、「論語」の言葉と思しき「吾道一以貫之」(わが道一をもってこれを貫く。私の(説く)道は、一つのもので貫かれている)の色紙が目に飛び込む。漢文で「道」とは「人の踏み行うべき正しい道」という意味だと高校時代の恩師が言っていたことを思い出した。
 その色紙に書かれた字義通りに関西生コン一筋で闘ってきた武さんの闘いの原点の紹介もわかりやすい。北海道出身の元自衛隊の勝又十九二さんという労組活動家との出会いが決定的だったと改めて知った。武さんは「自分以外の人間のために本気で怒り、本気で心配し、そして本気で闘う」(『武建一が語る/大資本はなぜ私たちを恐れるのか』旬報社、2020年)人柄にひかれ、学習会「勝又学校」に参加。彼の解雇をきっかけに労働組合運動に真に目覚め、その道を驀進することになる。
 映画でふんだんに盛り込まれているさまざまな闘いの映像も見応えがあった。11月集会後のデモ隊にハンドマイクを手にデモに襲いかかる右翼を後ろ側から撮影。右翼はハンドマイクを自ら落としたにもかかわらず、「うるせぇ」と抗議した青年労働者が逮捕されるというでっち上げシーンがとりわけ印象的だった。
(水野長春)
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