土地規制法成立を弾劾する 農地強奪・軍事空港を許すな

週刊『三里塚』02頁(1066号02面02)(2021/06/28)


土地規制法成立を弾劾する
 農地強奪・軍事空港を許すな

(写真 国会前で抗議【16日】)

 菅政権は改憲・戦争攻撃を一挙に激化させている。国会会期末の6月16日未明(午前2時29分)、重要土地調査規制法が参議院本会議で可決・成立した。土地規制法は、戦争に反対する民衆の声を押しつぶすための戦時立法であり、その発動を粉砕しなければならない。

基地・原発周囲を監視し処罰

 その内容は、①自衛隊や米軍基地などの「重要施設」の敷地の周囲おおむね千㍍の区域内及び国境離島等の区域を「注視区域」(5条)に指定、さらにその中にある特に重要な施設や国境離島等の場合には「特別注視区域」に指定(12条)。
 ②そして内閣総理大臣は注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査や情報提供を自治体に求めることができる。「関係者」にも情報提供が義務付けられ、違反者には30万円の罰金が科される(27条)。
 ③さらに「注視区域」や「特別注視区域」で重要施設の機能を阻害する行為と内閣総理大臣が判断した行為には禁止等を勧告、さらには禁止命令(9条)。従わない場合には2年以下の懲役、200万円以下の罰金。
 ④「特別注視区域」については土地売買の際には当事者の氏名や使用目的等の「届出」を義務化し、届出義務違反には6月以下の懲役又は100万円の罰金が科される(26条)。
 その問題点は、第一に、対象や「規制」が首相判断で拡大できることである。「重要施設」「生活関連施設」(2条2項3号)は政令で定められ、「施設機能を阻害する」という要件は首相の主観的判断とされる。基地や原発に反対する運動も、「重要施設の機能を阻害する」と首相に判断されれば、活動を禁止される可能性がある。
 第二に、監視対象は基地周辺だけではない。「重要施設」の中の「生活関連施設」は、法案審議では、さしあたり原発と軍民共用空港が言われているだけで、後はあいまいにされている。政令で指定するとしているが、準拠するのは「国民保護法施行令」27条だ。そこでは9項目あげているが、電気・ガス・水道など生活インフラや鉄道・港湾・空港など交通インフラ、放送・通信など社会インフラの全般で、広範囲な基幹施設が指定されることになる。

情報提供義務づけ弾圧狙う

 第三に、治安弾圧的調査の合法化。「重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為」の判断は、当該人物の氏名や住所だけはできない。そのための個人情報としては、思想・宗教・団体の所属(例:労働組合に所属)、趣味、家族・婚姻関係、人間関係(例:反政府的言動を繰り返す人物と交流・面識があるか)、職歴、渡航履歴などの収集(監視)を行う。つまり特高警察型手法と弾圧を前提にしている。8条は「関係者」にも情報提供を義務づけているが、これは密告を法的に強制するものだ。
 第四に、総理大臣が特別注視区域内の土地の買い取りを求めることができるとしている(23条)。これは、所有者が買取を拒否すれば、政府は土地収用の手続きに入れることになる。これは軍事を目的とした国による強制的な土地強奪だ。
 この法は、沖縄県民の反基地闘争に打撃を受けている日帝権力が、沖縄の闘いの圧殺を狙ってかけてきたものである。全国の米軍基地の70・6%が集中する沖縄は多くの土地が「注視区域」になる。本土でも米軍基地・自衛隊基地・原発周辺の住民に対する反基地・反原発闘争つぶしだ。
 そして何より、三里塚闘争に対する攻撃であり、機能強化・第3滑走路建設に向けた一大攻撃だ。軍事空港絶対反対は、反対同盟の結成当初からの闘争的立脚点であった。4000㍍滑走路の軍事使用なしに侵略戦争はできない。反戦・反基地闘争の金字塔である三里塚は、「農地死守」で空港の完成を阻み続けている。憲法を踏みにじり、三里塚闘争弾圧のために作られた成田治安法と実力で対決してきた。
 土地を武器にした闘いをあらかじめ封じ込めるための攻撃が、土地規制法だ。三里塚の請求異議上告棄却の攻撃は、土地規制法そのものであり、市東さんの農地取り上げは戦時土地収用攻撃だ。
 米日の中国侵略戦争体制づくりのための土地規制法の発動を、絶対に許さない。市東さんの農地を守り抜こう。三里塚は沖縄と連帯し断固闘う。
このエントリーをはてなブックマークに追加