明日も耕す 農業問題の今 芝山町に「農泊施設」開業 持続可能な地域づくり!?

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週刊『三里塚』02頁(1065号02面05)(2021/06/14)


明日も耕す 農業問題の今
 芝山町に「農泊施設」開業
 持続可能な地域づくり!?

(写真 町作製のハンドブック)

(写真 開業した宿泊施設)


 芝山町に総合宿泊施設「成田スカイパークイン芝山」が開業したと6月1日付の読売新聞(地域面)が報じた。農泊の拠点としての利用などを想定しているというのだが、ちょっと見過ごせない話だ。

 施設を手がけているのは「みどりと空のプロジェクト」という一般社団法人だ。同法人は、芝山町が地域活性化について考えてもらうメンバーを公募し、2017年1月に住民団体として発足。同年8月に法人化した。

金もうけの事業

 町おこし事業を手がける中で目をつけたのが農泊だ。空港に近いことも売りにして、農業体験や住民との交流を楽しむ滞在型の旅行を打ち出し、19年6月、国の農泊推進支援事業の対象地域に選ばれた。
 そもそも農泊(農村民泊)とは何か。都市居住者などが農業体験や農村交流をして休暇を過ごす「アグリツーリズム」や「グリーンツーリズム」を言い換えた言葉だが、2年前、本紙1038号の小欄で取り上げたことをおさらいしたい。
 安倍政権の下で、外国人旅行客を2020年に4000万人、2030年には6000万人にすることを目標とした観光立国政策が掲げられた。そして、農業を金もうけの観光の対象にしようと農泊が推進された。
 自民党は19年3月、訪日外国人らの「農泊」に取り組む地域を支援するとして、「ファームステイ(農泊)推進議員連盟(農泊議連)」を立ち上げた。発起人には林幹雄幹事長代理を代表に、二階俊博幹事長や菅義偉官房長官(当時)らが名を連ねた。

恥知らずな相川

 そして農泊をビジネスとして展開できるよう、地域のリーダーの育成や観光資源の発掘といった支援策を取りまとめ、2019年度予算に反映させた。まさにこの流れの中で進められたのが、この芝山町の事業なのだ。
 読売新聞によれば、4月に行われた開業の記念式典で相川勝重芝山町長は「農業、空港、観光を柱にまちづくりを進めている。持続可能な地域づくりに貢献してほしい」と述べたという
 ふざけるな! 農業をつぶし、地域を破壊し、住民を追い出す空港機能強化を誰よりも推進しておいて、何が持続可能な地域づくりだ。
 芝山町は「しばやま暮らし」という移住定住ハンドブックを発行したが、そこには「今、芝山町で住宅を取得すれば、最大120万円(周辺市町最高水準!)がもらえる」とうたわれている。
 一方で廃村化を進めながら、他方で新住民を募集する恥知らずで破廉恥な呼びかけを断じて許してはならない。破綻した空港と観光政策の先にもちろん未来はない。
 ちなみにこの施設は使われなくなったゴルフ場の従業員寮を改築したもので、A滑走路の飛行直下にある。なんなら「航空機騒音体験施設」と位置づけた方がよっぽどふさわしいだろう。今はあまり飛んでないけれど。

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