成田、714億円の最終赤字 「機能強化不可欠」と強弁する田村NAA社長を許さない

週刊『三里塚』02頁(1065号02面03)(2021/06/14)


成田、714億円の最終赤字
 「機能強化不可欠」と強弁する田村NAA社長を許さない

(写真 田村明比古社長)

経営危機は深刻

 成田国際空港株式会社(NAA)は5月27日、2021年3月期(2020年度)連結決算を発表した。旅客数は92%減の325万人と78年の開港以来で最低。営業利益は前期比69・7%減、当期純損益は714億円の赤字になった。NAAの設立以来、初の赤字である。決算書では、「営業収益は2期連続の減収となり、民営化以降最も低い718億円」と記載せざるを得なかった。
 注目すべき第一は、21年度についても旅客数が引き続き低調なことを想定し、22年3月期も赤字を予想していることだ。NAAは、空港運営事業の営業損失を前期比25億円増の620億円、直営店の物販などのリテール事業の営業損失を110億円とした。20年度より増収を見込んであるがそれ以上に費用がかさむため(増収減益)、連続の大赤字となる。
 しかしNAAは、21年度航空取扱量見通しについて「年内は2020年度水準からの大幅な回復は見込まれない」としつつ、他方で「ワクチン接種が進捗することなどで新型コロナウイルスの感染が沈静化に向かうことにより、航空取扱量は第3四半期から第4四半期にかけて国内線が回復に転じ、国際線もこれに続いて徐々に回復すると想定」と述べる。これがNAAの淡い願望に過ぎないことは明らかだ。ビジネス客の復活はもはやなく、「飛び恥」など環境保護意識の高まりは航空機使用を制限しつつある。「V字」回復がなければ赤字が積み上げられ、NAAの経営危機はさらに深刻化する。
 特徴の第二は、巨額の負債である。負債合計は、財政融資資金の借入れによる長期借入金の増加等により、同91・8%増の8728億円である。借り入れの多くが、長期返済としても、利子負担だけでも巨額だ。財務状況報告では純資産が前期比で396億円減り、自己資本比率も同17・1ポイント減の27・4%で、政府保証がなければ新たな融資など問題外である。

新滑走路阻止を

 田村明比古社長は同日の記者会見で、「大変残念で大変厳しい状況」と述べる一方、第3滑走路の建設やB滑走路の延長などについては「機能強化事業や中長期を見据えた成長投資は不可欠」と強弁を繰り返している。絶対に許せない。
 今や、成田空港発着年間50万回化の根拠になった航空需要予測そのものが、デタラメで恣意的なものだとはっきりした。首都圏空港機能強化策は完全に破綻した。1000㌶の農地や自然を破壊する第3滑走路計画の狙いは、軍事空港建設に絞られつつある。改憲・戦争のための第3滑走路建設を阻止しよう。戦時徴発の先駆けである市東さん農地収奪を阻止しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加