成田4000m滑走路は軍事に使われる 中国・朝鮮侵略戦争阻止を 農地を守り反戦・反基地闘おう
成田4000m滑走路は軍事に使われる
中国・朝鮮侵略戦争阻止を
農地を守り反戦・反基地闘おう
台湾有事想定し対中国戦争準備
4月16日の日米共同宣言は、米日の対中対決政策の大エスカレーションである。そこで米日は、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調し、台湾の安全が脅かされた場合は「集団的自衛権」行使に踏み切ることも辞さないとした。
すでに米軍・自衛隊の激しい訓練が連日行われ、いつ戦争が勃発してもおかしくない情勢が進行しつつある。この先にあるのは破滅的な核戦争・世界戦争だ。
今こそ反戦・反基地の闘いを日本中で巻き起こそう。国際連帯と自国政府打倒の闘いで戦争を止め、社会を根底から変革するために闘おう。
三里塚闘争は、軍事空港建設反対をかかげ、55年にわたる不屈の反戦・反基地闘争の最先頭で闘いぬいている。市東さんの農地取り上げ強制執行との闘いは、戦争のための土地収用との闘いである。青年・学生の力で、市東さんの農地取り上げを阻止し、第3滑走路=巨大軍事空港を粉砕しよう。
5月中旬、防衛省・自衛隊は九州で米軍、フランス軍と離島防衛の訓練を行う。日米仏の陸上部隊が日本国内で訓練を実施するのは初めてで、陸上自衛隊から約100人、米海兵隊と仏陸軍からそれぞれ60人程度が参加する。陸自の離島防衛の専門部隊「水陸機動団」など、3カ国の部隊が共同で水陸両用作戦や陸上戦闘の計画を立てる。ビルや商業施設がある市街地を模した施設に突入する訓練や、実弾を使用した射撃訓練も実施。米軍が輸送機オスプレイ、自衛隊がヘリコプターを出し、兵員の輸送にあたるなど、実戦さながらだ。
台湾有事とは、日本帝国主義にとって安保法制における「存立危機事態」だ。先の日米安全保障協議委員会(2プラス2)でも、日米両政府が「台湾海峡の平和と安定の重要性」を確認し、日本政府は安保関連法に基づく米軍の後方支援の具体的検討に入った。
台湾有事に米が介入すれば、約5万人が駐留する在日米軍基地、特に沖縄や横田、横須賀、佐世保が出撃拠点となる。
安保法を発動し、自衛隊が後方支援として米軍に物資補給する。さらにシーレーン防衛で警戒中の米艦船が攻撃されれば、日本の存立が脅かされる安保法の「存立危機事態」になる。同事態は集団的自衛権により、自衛隊が武力行使できる3要件の一つだ。また在日米軍基地への攻撃などに発展すれば「武力攻撃事態」だ。自衛隊が、米軍とともに中国侵略戦争の一翼を担うことになる。重要な点は、これらは順を追ってなされるものではなく、平時から準備されていくものだということだ。
平時からの準備の点で決定的に必要なものは、巨大空港建設である。
昨年12月、日米防衛協力についての米論文の中では、「米空軍力の分散は、中国軍が攻撃目標を選ぶ判断を複雑にさせ、日米が航空優勢を確立する時間を稼ぐことができる」(米民主主義防衛財団のマシュー・ハ研究員)と述べられ、日本有事への備えとして在日米軍の航空機などを分散させる受け皿になる空港確保のキャンペーンが行われている。
このように今日進められている辺野古新基地建設と成田空港拡張は、東アジアでの戦争準備のためのものだ。
朝鮮戦争計画と安保法制定強行
成田空港は、4000㍍滑走路を有しているが、これは日本国内では他に関西国際空港しかない。
この巨大空港の軍事的役割とくに兵站(へいたん)上の重要性は、94年朝鮮危機以降、本格的に進んだ日米軍事同盟の強化と安保法の制定によって明白になっている。
94年朝鮮危機(注)の時、アメリカは日本政府に、朝鮮戦争遂行に必要な約1900項目にのぼる「協力要請リスト」を突きつけた。それは「朝鮮有事の際に米軍は成田、新潟、千歳の定期便をストップさせ、兵員や死活的軍需物資の空輸基地に転用すること」(在日米軍準機関紙「星条旗新聞」)を含んだ。
アメリカの朝鮮戦争計画では、米軍が朝鮮半島に派兵する総数は湾岸戦争規模の50万人。そのうち10万人は在日、在韓その他の形ですでにアジアに展開している。40万人が米本土から日本を中継基地にして展開するが、その「中継基地」の役割を果たせる自衛隊の能力は、必要とされる1%しかない。大半を民間空港、港湾に頼らざるを得ないのだ。兵員輸送は主に、民間大型機で飛来するが、これには3500〜4000㍍滑走路が必要だ。
当時、日本は自衛隊の後方支援や民間の戦争動員を行う体制が不備であった。その立ち遅れを取り戻すべく、やみくもな安保法制の制定を強行したのが安倍政権である。(2015年)
制定された安保法制の一つである「特定公共施設利用法」は、有事の際、政府の指定する空港、港湾、道路などを自衛隊や米軍が優先利用できることを明記した。内部告発サイト「ウィキリークス」は、2008年7月には、アメリカが外務省や防衛省に23の空港と港湾の調査を要求した事実を暴露した。この調査の眼目が、4000㍍滑走路を持つ成田だ。成田空港は、いざ戦争となれば、特定公共施設として軍事徴発される。
「軍事空港反対」貫く三里塚闘争
「機能強化」として計画されている第3滑走路は、B滑走路と抱き合わせで「スライド方式」で運用される。つまり2本で1本の役割しか果たさない。成田空港は、年間30万回の発着目標に対して、コロナ前でも約25万回の需要しかなかった。コロナ禍は、航空需要を壊滅的に激減させただけでなく、旅客便は大幅に羽田に移行され、成田は貨物空港に特化しつつある。アフターコロナで、需要回復する見込みなどない成田空港に、なぜもう一本の滑走路が必要なのか。
軍事使用の目的があるからだ。台湾海峡への軍事介入を狙う米日の対中戦争宣言は、東アジア総体を戦争危機へと叩き込む。米軍50万人の兵站基地とされた成田の軍事的位置は再び高まっている。第3滑走路計画は戦争のためだ。
反対同盟は結成以来「成田空港の軍事使用反対」を重要なスローガンに掲げてきたが、反戦・反権力の砦としての三里塚闘争がまさに輝く時が来ている。成田の軍事空港化を阻止しよう。市東さんの農地取り上げを阻止し、第3滑走路を粉砕しよう。
(大戸剛)
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(注)94年朝鮮危機
93年北朝鮮はNPTの脱退=核開発を進めた。これに対し、米クリントン政権が開戦を決断する寸前までいった。米は、全面的な朝鮮戦争計画である「作戦計画5027」の準備を進めた。これは、朝鮮戦争が勃発した場合に、米本土から兵員40万人を増派し、北朝鮮政権を転覆して占領統治することまで作戦化したもの。韓国側だけで死者は「100万人」を想定するすさまじい侵略戦争計画であった。94年以降、2年ごとにブラッシュアップされて、15年には、5015計画(北朝鮮への先制核攻撃、金正恩暗殺)としてまとめられている。