いざ決戦の三里塚へ 全学連現地行動隊から新入生のみなさんへ 反対同盟農民 不屈の闘争55年 農地死守、今こそ成田を廃港に
いざ決戦の三里塚へ
全学連現地行動隊から新入生のみなさんへ
反対同盟農民 不屈の闘争55年
農地死守、今こそ成田を廃港に
新入生のみなさん。入学おめでとうございます。みなさんは、成田空港建設に対し、地元農民が絶対反対を掲げて現在も闘い続けている「三里塚闘争」をご存知でしょうか? 三里塚芝山連合空港反対同盟は結成から55年目を迎えます。農民の農地を奪って進められた暴力的空港建設という国策に対し、反対同盟が体を張って闘い、反対運動に共感した労働者や学生が現地に駆けつけ、共に闘い抜きました。今回は今日に至る空港絶対反対の闘い、動労千葉との労農連帯、市東孝雄さんの農地決戦などを通して、三里塚闘争とは何かを解説していきます。
5・26新やぐら裁判に集まろう
コロナ禍によって世界は様変わりしました。感染症の急拡大によって医療体制は崩壊し、航空業界も大打撃を受けています。
菅政権は日米首脳会談・日米共同宣言を転換点に、中国に対する侵略戦争を想定した歴史的踏み込みを行おうとしています。今国会で国民投票法改悪・入管法改悪・デジタル監視法などを矢継ぎ早に成立させ改憲・戦争へ突き進もうとしています。自民党・菅政権、資本家階級を労働者・学生の実力で打倒し、共に生きられる社会を作り出しましょう。
5月26日、東京高裁で行われる新やぐら裁判控訴審への傍聴と霞が関デモにぜひ駆けつけてください。
体を張り国家暴力と対決
1966年7月4日、自民党・佐藤栄作政権は、新東京国際空港建設予定地を千葉県成田市三里塚一帯の地域とする閣議決定を突如発表しました。当時、羽田空港にはベトナム戦争による米軍チャーター機の利用が急増し、新空港建設は住民にとっては「寝耳に水」の暴挙だったのです。当然地元からは強い反対の声が上がりましたが、政府は地元議会を買収したり、公聴会から住民の傍聴者を機動隊の力で排除するなど強引に進めてきました。
同年7月10日、三里塚空港反対同盟と芝山町空港反対同盟を中心に新空港閣議決定粉砕総決起大会が農民ら3000人を集めて開かれました。その後「三里塚芝山連合空港反対同盟」が正式に発足します。この農民の決起に応え、1967年に佐藤首相ベトナム訪問阻止・羽田闘争を実力で闘った全学連(全日本学生自治会総連合)が三里塚に駆けつけ、共闘関係を結びました。1968年2月26日には反対同盟、砂川基地拡張反対期成同盟、全学連の主催の集会が成田市内で開かれ、学生たちは成田市役所・空港公団分室に突撃して闘い抜きました。この時、機動隊の容赦ない暴力を受け頭部に重傷を負った戸村一作反対同盟委員長は国家権力と労働者・農民との非和解性を実感し、実力闘争の思想をつかみ取っていきます。
社会全体を巻き込んだ反対運動をつぶすために、政府は土地収用法を適用し、1971年2月第1次強制代執行、9月第2次強制代執行を強行し、機動隊を使っての一坪共有地、団結小屋などの強制収用に乗り出しました。農民たちは砦を築き、木に鎖で体をしばりつけ、公団職員と警察の暴力にひるまず闘いぬきました。この攻防はテレビで全国放送され、近隣の農民や地元住民、労働者や学生が現地に押し寄せ、連日のように機動隊を包囲し闘いぬいたのです。第2次強制代執行においては9月20日に取香部落に住む農民、小泉よねさんの民家への強制収用に踏み出しました。卑劣にも千葉県友納武人知事はわざわざ記者会見で9月20日の代執行中止を発表して、この日、だまし討ちを行ったのです。政府が掲げている「国益」「公共の利益」とは人々の生活や命を奪って成り立つものです。この正体が全国に伝わり、さらに闘争が拡大します。1960年から70年代にかけてベトナム戦争に反対する人々と連帯し、全国的な一大政治闘争にまで発展しました。
動労千葉との労農連帯
三里塚に連帯し、空港へのジェット燃料の貨車輸送阻止闘争に、労働組合として総力決起したのが、国鉄(現JR)の運転士、機関士、検査修繕部門などの労働者の組合である動労千葉でした。開港を前に、燃料輸送のためのパイプライン建設が沿線住民の反対運動に遭い、計画が遅れに遅れました。そこで政府はジェット燃料を国鉄の貨車で「暫定的に」運ばせることを強制しました。動労千葉は77年と78年に3回のストライキに決起し、81年3月には燃料貨車だけでなく、千葉県下の全線をストップさせる大ストライキを敢行しました。反対同盟も沿線デモに決起します。
動労千葉はこのジェット闘争を闘うにあたり、①農民の闘いへの連帯、②危険なものは運ばない、③労働者の権利を守る、④組織破壊を許さないという4つの視点を確立しました。この闘いで5名解雇などの激しい組合への弾圧がかけられましたが、労農連帯の信義を一途に貫くことで、反動的な動労本部からの分離独立、さらには国鉄分割・民営化攻撃との闘いへの力が育まれ、団結が固められました。動労千葉の田中康宏顧問は「組合員が文字通り自分自身の闘争なんだというところまで意思統一ができなかったら、この闘争に踏み出すことはできなかった」と述懐しています。(本紙976号) 反対同盟の萩原進事務局次長は、「自らのクビをかけて輸送を阻止する動労千葉に感動した」と語っています。
市東さん農地裁判の焦点
反対同盟の先頭で闘ってきた敷地内・天神峰の市東東市さんが1999年1月に逝去し、3月に開かれた追悼集会で長男の孝雄さんが登壇しました。孝雄さんは父の農業と闘いを引き継ぐために天神峰に戻る決意を固めていました。「父の遺志は長男の私が継ぎます。そして故人が生前好きだった『闘魂ますます盛んなり』の言葉を大事に、空港反対を貫き、家族と農地を守っていきます」と語り、万雷の拍手を浴びました。
反対同盟の不屈の闘いで成田空港の事業認定は失効し、強制収用によって自分の農地が取り上げられることはないと市東さんは認識していました。ところがその矢先の2003年12月、市東さんは自分の耕す天神峰と南台の農地について、「空港公団が取得し登記を行った」ことを商業新聞の記事で突如知らされたのです。そして04年に空港公団から「民間会社」へと衣替えした成田空港会社(NAA)は、一層悪質で卑劣な本性をむき出しにしました。市東さんに「賃貸借契約の解除」を突き付け、「土地の所有権はNAAにある。空港を造るのにじゃまだから、土地を明け渡して出て行け」と迫ってきました。そしてNAAは1億8千万円の離作補償料を提示しながら、土地の明け渡しを求めて民事訴訟を起こしました。市東さんは「1億8千万円より1本100円の大根の方が価値がある」と闘っています。この農地法裁判でNAAが出した証拠である署名・捺印された書類が偽造であることや、耕作者である市東さんに無断で公団が旧地主から底地を買収し15年間も隠し続けてきたことなど、NAA側の数々の違法・脱法が暴かれました。ところが、許しがたいことに千葉地裁は2013年に明け渡しを認める不当判決を下し、東京高裁、最高裁でもそれにお墨付きを与え、農地強奪の反動判決が確定しました。
しかし、市東さんは千葉地裁に「請求異議の訴え」を行い、判決の強制執行を阻む請求異議裁判を2016年11月から開始しました。千葉地裁、東京高裁の不当判決を弾劾し、現在上告審が闘われています。最高裁署名にご協力お願いします。「執行停止」の期限が3月31日に切れ、4月1日から反対同盟は現地に座り込んで闘っています。共に市東さんの農地を守りぬく陣形に加わりましょう。
第3滑走路建設阻止を
コロナパンデミックによって航空業界は壊滅的な打撃を受けました。これは資本主義体制そのものの危機です。日本航空(JAL)が5月7日に発表した21年3月期の連結結算は2866億円の赤字となり、過去最大の赤字となりました。この赤字をカバーするため貨物輸送の強化を行おうとしていますが、成田空港が掲げていた「年間発着回数50万回」という目標は今や夢物語になっています。航空需要は元には戻りません。実際、昨年の4月に成田空港のB滑走路が3カ月以上閉鎖されました。飛行機を無理やり飛ばすことに意味はなく空港の存在自体が必要ありません。
しかし成田空港は「機能強化」と称して新たに3500㍍の3本目の滑走路建設、B滑走路の1000㍍延長、深夜・早朝発着時間の延長(早朝5時から深夜0時半まで)を進めようとしています。生活環境を破壊し、住民の生活を奪い、金もうけを優先するこの暴挙に対し、第3滑走路建設予定地の騒音下地元住民を叩きだそうとしています。自然環境を破壊し、住民の生活を奪い、金もうけを優先するこの暴挙に騒音下住民は立ち上がっています。この住民の決起を引き出したのは反対同盟の粘り強い空港絶対反対の闘いです。地元住民とともに機能強化策を粉砕しましょう。
学生・青年の未来をかけて
三里塚農民は、人の命を奪って成り立つ国策に対し実力闘争で闘ってきました。沖縄でも「国策」としての辺野古新基地建設に反対し、実力で反対運動が闘われています。米軍基地建設と闘う沖縄、「全原発廃炉」を闘う福島と連帯し、国家暴力による農地取り上げと体を張って闘っているのが市東さんの農地死守の闘いであり三里塚闘争です。全学連も無実の政治犯=星野文昭さんや大坂正明さんをはじめ、多くの先輩が三里塚現地に駆けつけ闘いました。
コロナ禍で暴かれた資本主義の破綻と崩壊はいまや誰の目にも明らかです。新自由主義攻撃の中で生きられない状況にあえぐ青年労働者や困窮する学生にとって、今まで押し付けられてきた価値観とは全く違う世界観がここにあります。ぜひ三里塚現地に駆けつけ、ともに闘い、未来を切り開きましょう。現地調査(フィールドワーク)や援農をお待ちしています。
(全学連三里塚現地行動隊長・二川光)
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