北総の空の下で 食料危機 世界8億人が飢餓
週刊『三里塚』02頁(1058号02面06)(2021/02/22)
北総の空の下で
食料危機
世界8億人が飢餓
2月中旬、冬と春がせめぎ合いながらも日差しに力強さが戻ってきました。空き畑に堆肥をまいて、春作の準備が始まっています。
「水・食料クライシス」というNHK特集を見ました。方向転換しなければ2050年には地球上の水も食料も枯渇すると警鐘を鳴らす内容です。現在8億人が飢餓状態にあるのに、日本で廃棄される食品は国連などの食料支援の何と1・5倍。食料自給率が40%を切る日本の飽食は、世界中の地下水と土地の養分を奪うことで成り立っているのです。ちなみに輸入牛肉1㌔に使う水を試算すると風呂80杯分、一方では1日2㌦で暮らすスラムの住民……。しかし日本でも、庶民が高騰した食品を買えず飢えに苦しむ時代が迫っているといいます。未来を変えるためには、生態系と熱帯雨林を守ること、劣化した農地を再生すること、食品廃棄を減らすことです。
産直農業は、消費者と農民が連携して高度経済成長期の公害と農薬禍から生活を守るために始まりました。大運動になったことで大手生協が参入して一部に企業の論理が持ち込まれる結果になりましたが、家族農業と地産地消が基本です。気候と土地に合った多種類の作物を輪作することで、持続可能な農業を実現してきました。
儲かるものを作る資本主義社会で、必要な食料は置き去りにされてきました。巨大アグリ企業が絞り尽くそうとしている水と土を、農民の手に取り返しましょう。
北里一枝