NAA田村社長「航空需要回復」発言の虚偽を暴く 全日空撤退、成田の危機は絶望的
週刊『三里塚』02頁(1055号02面03)(2021/01/11)
NAA田村社長「航空需要回復」発言の虚偽を暴く
全日空撤退、成田の危機は絶望的
(写真 「こんな成田は初めて」と利用者も驚く閑散とした成田空港国際線ロビー【12月】)
国内の航空各社の年末年始期間(昨年12月25日~1月3日)の利用実績によると、国際線の利用客数は前年比95・5%減の約3万2000人となった。全日空では、利用率は前年の2割程度で、利用客数は約1万6000人と記録上最低だった。年末年始に一縷(いちる)の望みを託していた航空各社の需要回復の思惑は、完全に外れた。
この中で、妄言を繰り返しているのが、成田国際空港株式会社(NAA)の田村明比古社長である。年末の記者会見で田村は、「今年はコロナに翻弄され、成田空港は民営化以降初の赤字となり大変残念な事態となった。旅をしたいという欲求は人間の本質に根差したもの。航空需要は必ず回復する。安心安全な空港運営を行い再飛躍に向けて必要な準備をしていく」と述べた。コロナを理由に赤字転落した放漫経営の責任を回避し、無責任に「再飛躍」なるものを呼号している。こんな破綻会社が、市東さんの農地を奪い周辺住民の生活を破壊することが許されていいのか。
田村は、「旅」を「人間本質からの欲求」と情緒的に「飛躍」を煽る。しかし、コロナによって人々の暮らしに危険と不安が襲いかかっている今、「回復」への準備などを語るのは論外だ。仮に将来のこととして成田が必要となるまで回復がありうるのか。成田空港の需要を支えていたインバウンドバブルは復活するのか。成田は羽田との競争に勝てるのか。
いずれもNAAにとっては絶望的だ。その典型が全日空の経営方針だ。国際線利用者の回復がすぐには見込めないとする全日空は、国際線(当初75路線・およそ5400便予定)の大多数を休止し、残った路線(28路線・およそ800便)も羽田に集約する方針を固めた。成田発着分は8割減、拡大した成田空港の拠点化を解消、段階的に縮小するため関係機関との調整に入った。しかも需要が回復しても、羽田空港便から優先的に戻すとのことだ。
これは、事実上、日本の二大航空キャリアの一つが成田からの撤退を表明したものだ。全日空にとって国際線が運航されない以上、成田空港に国内線を維持する必要はない。今や遊覧観光用の巨大航空機A380の駐機場でしかなくなる。このように成田からの航空会社の縮小・撤退が雪崩のように起こっている。危機に立つNAAを追撃し、市東さんの農地取り上げを阻止し、第3滑走路建設を粉砕しよう。