北総の空の下で 福島の農業 「不検出の梨」の重み

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週刊『三里塚』02頁(1052号02面06)(2020/11/23)


北総の空の下で
 福島の農業
 「不検出の梨」の重み


 福島の梨農家Oさんが、今年もたくさんの梨を軽トラに積んで三里塚を訪問してくれました。どの品種も放射性物質は「基準値以下」ではなく不検出です。しかしこの事実を受け入れてくれない人も多いといいます。
 原発事故は福島の人々に〝去るも地獄残るも地獄〟の現実を強制しました。土作りを基本にする有機や産直農家への打撃がいかほどのものか、市東さんの裁判を闘っている私たちにとっても他人ごとではありません。多くの仲間が福島を去る中で、Oさんはとどまって土地を再生させることに賭けました。そうした日々の中で実った不検出の梨の重みを、今年も味わっていただこうと思います。特に楽しみなのが、成田周辺の農家では作っていないラ・フランスです。熟成して甘い香りが出てくるのを心待ちにしています。
 Oさんが、双葉町から避難している「あの標語の男性」の記事を送ってくれました。6年生の時の宿題で提出した「原子力明るい未来のエネルギー」が町の大看板になり誇らしく思ってきた大沼さんは、震災翌年から原発反対の立場で過ちを繰り返すなと発信してきました。息子たちを初めて双葉町に伴った時のこと、至るところで建物の解体工事が続く「復興」って? と 息子たちに問います。
 菅首相は温室効果ガス実質ゼロ化を大義名分として原発推進を宣言しました。最終処分場の展望さえない「トイレのないマンション」に未来は託せません。
北里一枝
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