小泉市長を証人に呼べ 団結街道裁判で「廃道」の違法を追及 NAAは文書隠しの虚偽答弁

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週刊『三里塚』02頁(1048号02面04)(2020/09/28)


小泉市長を証人に呼べ
 団結街道裁判で「廃道」の違法を追及
 NAAは文書隠しの虚偽答弁

(写真 内野俊夫裁判長)

(写真 弁護士会館で報告会【9月18日】)


 9月18日、千葉地裁民事第3部(内野俊夫裁判長)で団結街道裁判が開かれた。
 団結街道(成田市道・天神峰―十余三線)は、市東孝雄さんにとって、自宅と南台の耕作地を直線で結ぶ、日々の営農に不可欠の道路であり、一般的にも利用者が多い重要な交通路だった。成田市は、2010年6月に夜陰に乗じて暴力的に封鎖・廃止し、土地を格安でNAAに売り飛ばす暴挙に及んだのだ。
 開廷すると弁護団は、陪席裁判官の交代に伴う更新意見を述べ、さらに準備書面29を陳述した。
 2018年2月に証人として出廷した元成田市土木部長・中村壽孝は、廃道を決定し実行した経緯・根拠・手続き、責任の所在などについて尋問され、「わからない」「記憶にない」を繰り返すという無責任極まりない対応に終始した。明らかになったのは、この処分は政治案件として小泉市長の「ツルの一声」で上から行われたことだ。
 09年7月29日に開催された4者協議会(国交省、NAA、千葉県、周辺市町)で、空港の年間発着30万回化に向けて、第3誘導路建設が提案・合意されたが、それにじゃまになるということで、最初から結論ありきで違法・違憲の廃道が実行された。現に耕作されている畑に隣接する道を廃止した前例はなく、廃道の要件を定めた道路法10条も無視された。小泉市長を証人として法廷に呼び出し、経緯を吐かせることが絶対に必要だ。
 今、新型コロナの全世界的拡大のもとで航空需要は一気に蒸発し、成田は発着・旅客数が激減して存亡の危機にある。インバウンド政策のもとで過度の料金値下げ競争、路線急拡大、過大な設備投資が続けられて航空バブルが膨張してきた。それがコロナの直撃で破裂し、実態が顕在化した。
 現代資本主義におけるグローバリズムの進展と、無秩序な乱開発・自然破壊を主な原因として、パンデミックがもたらされた。資本主義自身にこれを止める力はない以上、感染症の脅威は続くし、航空需要の回復はありえない。
 第3誘導路の存在意義が消失したことで、団結街道廃道の理由も必要性もなくなった。廃道処分を直ちに取り消せ!
 さらに弁護団は、09年の4者協議会開催以前の国・NAA・成田市の間で交わされた説明・協議などの会議記録について、裁判所が直ちに「文書提出命令」を出すように求めた。これに対し被告・市は、「証拠調べの必要なし」と反論した上に、「存在を確認できなかった」と述べた。明らかな虚偽答弁だ。
 弁護団が、「以前はあったが廃棄されたのか」と詰め寄ると「少なくとも現時点では存在を確認できない......」などとつぶやく。即座に傍聴席から「うそつくな!」と怒声が飛んだ。内野裁判長もさすがに見過ごすわけにもいかず、「もう少し調査し、作成したのか、廃棄したのかどうかを確かめて」と促した。
 弁護団は、成田市の10年1月の「調整会議」の中で、「この(廃道)事案は空港反対派の生活道路の廃止に関するものであり、十分な調整ができていないと、今後、訴訟等のリスクを追う」と記載されている事実を指摘し、「被告らが記録を保管してないことはありえない」と批判した。
 さらに弁護団が、「小泉市長の証人採否はいつ行うのか。この問題を先送りして2年以上も空転している」と詰め寄ると、裁判長は憮然として、「文書提出命令の処理が終わってから」と応じる。傍聴席からは「直ちに市長の喚問を決めろ」と抗議が殺到した。次回期日を来年3月5日と確認し、閉廷した。

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