北総の空の下で 丸木美術館 「原爆の図」を見る
週刊『三里塚』02頁(1046号02面06)(2020/08/24)
北総の空の下で
丸木美術館
「原爆の図」を見る
ようやく梅雨が明けて夏の太陽を享受したのも束の間、危険レベルの猛暑が続いて人も野菜も干上がりそうです。雨が欲しい!
コロナ感染は猛暑にも衰えず、熱中症とダブルで生活を直撃して出口が見えません。
盆休みに車で現地の仲間と埼玉県にある丸木美術館に行きました。丸木位里・俊夫妻には三里塚闘争を描いた作品もあって身近な存在でしたが、美術館で見る等身大の人間群像は写真では伝わらない迫力がありました。俊の画力で活写する群像と位里の幽玄な水墨世界が協働で作り上げた原爆の図14部作は、誤解を恐れずに言うなら『人間賛歌の図』です。俊は「どんなに残酷な情景でもやられる側の人の姿は美しく描きたい」と語ったそうです。第14部『カラス』は、放置された朝鮮人被爆者がカラスの餌食になるすさまじい内容ですが、中央に浮かぶように描かれたチマチョゴリが故国への思いをつなげる希望になっています。
20年来学芸員として発信し続けてきた岡村幸宣さんいわく「この美術館は《原爆の図》のために建てられました。《原爆の図》を大切だと思う人たちがその思いをつなぎ続けてきた場所です」。岡村さんの著作に目を通し、12年に東京都美術館で拒否された『少女像』を展示したこともわかりました。3・11以降若者の来館が増えているそうです。 「命を返せ」と発信し続ける美術館には、ふくしま共同診療所の署名用紙もありました。
北里一枝