明日も耕す 農業問題の今 「食料自給率が上昇」? 安倍農政下で解決不能

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週刊『三里塚』02頁(1046号02面05)(2020/08/24)


明日も耕す 農業問題の今
 「食料自給率が上昇」?
 安倍農政下で解決不能


 農水省は8月5日、2019年度の食料自給率がカロリーベースで38%となったと公表した。過去最低に落ち込んだ前年度の37%から08年度以来、11年ぶりの上昇となったが、改善傾向にあるわけでもなんでもない。

 食料自給率はこれで10年連続で40%を下回ったが、たった1%でも「上昇した」と肯定的に伝える報道もある。だが、これは四捨五入した数字で、細かく言えば前年度の37・42%から37・82%とわずか0・4ポイント上がったにすぎない。
 新たな食料・農業・農村基本計画では、2030年度にカロリーベース自給率を45%にする目標を掲げているが、とてもその見込みはない。
 また、本紙1040号の小欄でも言及した飼料自給率を反映しない新たな指標「食料国産率」は、カロリーベースで47%で、18年度から1ポイント上がった。食料国産率は「国産も結構ある」と目先を変えるものだと指摘したが、今後この数字がどのような比重で扱われていくか、注意して見ていく必要がある。
 そして、食料自給率にも大きく影響する飼料自給率は2019年度時点で25%となり、2年連続で同水準にとどまった。2030年度に34%に引き上げる政府目標との隔たりはやはり大きい。

「消費の問題」か

 農水省は、自給率がなかなか上昇しない要因として、ほぼ国産で賄える米の消費減退を挙げる。あるいは食の洋風化など食生活を要因だとする論調もある。
 例えば、農業ジャーナリストの青山浩子氏は「食料自給率を上げる主役は生産者ではなく、むしろ消費者の手にかかっている」「自給率を上げる主役は〝消費者〟だ。食料自給率は、国民が1年間送ってきた食生活の結果であり、向上させるには国産を選択するという大幅な食生活改善が求められる」と言う。はたしてそうだろうか。
 クルマを売るために輸入された安い農産物が店頭に並ぶ日常の中で、低賃金で家計をやりくりしなければならない労働者が、どれだけ自由に国産を選択できるだろうか。そもそも私たちの食生活自体が政府の外交政策、経済政策、食料政策、農業政策に大きく左右されてきたのではないのか。
 私たちはこれに抗するあり方として、産直のような提携をもっと進めていきたいものだが、「コメを食わなくなったのが悪いんだ」といった論調は、労働者と農民の分断にしかならない。

最長に祝福なし

 食料自給率の問題は消費の問題ではなく、政治・政策の問題だ。
 7年8カ月の安倍農政は、輸出に特化した金もうけ農業を柱とした成長産業化もうまくいかず、日本の農家と農業をどんどんつぶした。食料自給率の低落は、日本の農政を映し出す鏡であり、安倍農政の農業切り捨てを示す指標だ。
 連続在任最長でも誰からも祝福されない安倍政権など、一刻も早く打倒しよう。
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