ピンスポット 英ヒースロー空港拡張計画破綻 「第3滑走路不可能」 環境対策なし、バブル崩壊
週刊『三里塚』02頁(1046号01面05)(2020/08/24)
ピンスポット
英ヒースロー空港拡張計画破綻
「第3滑走路不可能」
環境対策なし、バブル崩壊
各国で空港拡張計画の見直しが始まっている。成田と類似する英ヒースロー空港(写真)の拡張計画もコロナ感染症による航空需要減に直面し、中止の動きが加速している。
ヒースローの国際線の利用者数(19年)は7604万人。ドバイ国際空港(8632万人)に次ぐ世界2位。英政府と議会は18年6月、3本目の滑走路をつくる計画最終案をそれぞれ承認した。経済界は「世界をリードするハブ空港の計画」として、「拡張なしでは、企業は地域における重要な接続性と、世界の主要市場へのアクセスを失う危機」と位置付けた。
しかし、環境破壊を理由とする差し止め訴訟で英控訴院(高等裁判所)は2月、気候変動対策が十分に考慮されていなかったとして、拡張計画は違法とした。空港側は、計画の練り直し中であったが、航空バブルの崩壊が追い打ちをかけた。同空港にとって最大顧客である英ブリティッシュ・エアウェイズも破綻寸前となり、拡張建設費が利用料金に上乗せされることに難色。親会社の最高経営責任者(CEO)は5月に「この状況で第3滑走路は不可能」と発言し、白紙撤回の早期決定を促している。