大地と共に 三里塚現闘員が語る 座談会―援農について 反対同盟農家を支える闘い 農地を守る思いを共有して
大地と共に
三里塚現闘員が語る
座談会―援農について
反対同盟農家を支える闘い
農地を守る思いを共有して
今回は、普段市東さん宅や萩原さん宅に援農に入っている現地闘争本部員3人と全学連三里塚現地行動隊の二川光さんに「援農」をテーマに語り合ってもらった。
----二川さんはいつ現地へ来られましたか?
二川 17年1月に行動隊として着任しました。 一同 えっ、もう3年半になるの!?
藤山 彼は管理機(耕耘機)作業を一人でできるようになっています。最初は不慣れでしたが、重心が低いこともあって安定し、今では一番うまい。ロータリーの刃の交換やトラックの荷台のロープも縛れるようになっていますね。
南沢 力仕事は本当にありがたいです。
----闘争と援農のかかわりについてどのように考えていますか。もちろん援農は三里塚闘争を闘っている農家を支えるという目的ですが。
南沢 農作業がうまくいっていなければ三里塚闘争は成り立ちません。援農は、「言われたことを終わらせればいい」というわけではなく、農作業全体を見通して、求められている仕事を自分からやるというようにならなければなりません。
猫の手借りたい
----みなさんの援農を見ていると、自分が農家のようにも思えますが。
南沢 そういうことでもなくて、農家との作業の分担もあり、それに気遣いながら、「こうやりましょうか」と言って、それとなく察してやっています。二川さんは、今後も畑全体の状況を把握し、例えば管理機作業を担当して、「自分に任せろ」ぐらいの積極さも必要だと思います。
藤山 最近は二川さんも意欲的だよ。この間は、「ビニールマルチをそろそろはがした方がいい」と言ってきました。
柿谷 こちらからこういう仕事をしましょうかと、聞けるようになったら一人前だね。
----最近の農作業についてはどうですか。
藤山 裁判が少ないけど、仕事に追われていますね。
南沢 今後闘争が増えると、外から来てもらわないと仕事が回らなくなります。
藤山 闘争が入ってくると、この日にこの作業をやりたいということが思う通りにはいきません。農作業は、天気にも左右されます。手が足りないときには本当に猫の手も借りたいですね。
----それぞれの実家は、農家ですか。
藤山 実家は米農家で自分の食べる分だけ畑をやっていました。昔は田おこし用の耕牛を家の中に飼ったりしていましたが、今は田んぼは人に頼んでいます。子どもの頃は、うちの手伝いをさせられるから学校から帰ったら、すぐに遊びにいってましたね。
南沢 私の家は、家庭菜園程度でエンドウ豆を作ったりしていました。母の実家に遊びに行くと、農家の子どもたちは農作業を手伝うのがあたりまえで、家族ぐるみで働いている。それなのに、父の給料で生活している労働者家庭の自分に比べて生活が楽でないのが子ども心にも不公平だと思っていました。
柿谷 家は労働者だったので農業をしたことがありませんでした。最初は行動隊として現地に来て、あくまでも革命運動のために慣れない農作業もやってきましたが、きつかったです。菱田地区が産直をはじめた頃で、自分は草刈機も管理機も使えないということで、草取りがメインでした。他は収穫が終わった畑の片付けなんかをやっていました。草取りが一人前にできて本物。現闘になりたての頃、大根の種をひっくり返したこともあったけど、みんなそういう失敗を一回はやる。
藤山 オレも最初1年は農作業すごいきつかった。先輩に言うと、「1年すれば慣れるよ」と言われました。(笑)
労農連帯の実践
----柿谷さんの援農に対する思いは?
柿谷 農業問題に対する一つのアプローチであると思います。プロレタリア革命後に、労働者権力は農民に対してどうするのかの試験です。キューバでは、革命後、農民のところに国の費用で労働者がきて働いていたと聞いています。将来の一つの姿でしょう。今、コロナ禍で農家は厳しいです。小さい農家がやっていけなくなったら日本の農業も終わり。零細農民、小農を守っていかなくちゃいけないというのが、私の思いです。
南沢 食べるものは未来永劫絶対に必要だけど、食料は工場で計画的に作れるわけではありません。三里塚闘争があるからというだけではなく、農業は支援(その一つとして援農)があって成り立つものじゃないかな。大規模化すればよいではない。だから、労働者も自分の食べ物を作る仕事を必要なときに手助けするあり方が求められる、本来はね。
----最後に、若者へのメッセージを。
南沢 非正規労働で規則正しく生活できず、お金もないという大変な状況で、カロリーベースで考えると削られるのは果物と野菜。だけどビタミンも食物繊維も体にとっては必要なものです。食は人間の体の基本。年を取ると差が出ます。今のうちに食生活についてよく考えてほしいです。
藤山 安全で栄養のある野菜がどうやって作られているのか見にきてほしい。ファミレスのサラダバーの野菜は加工の仕方からして栄養のないもの。そんな野菜を食べているのを見ると不安になります。三里塚では、百円の大根を安全に作るということをやっています。苦労して作っている様子を見に来てほしい。援農にはやりがいがあります。自分で作ったものだと子どもたちも食べるというんだから。最初は見に来るだけでもいい。
柿谷 革命運動をやっている仲間が来てくれることは非常にうれしい。ものを作る喜びや面白さ、これは一日でもわかることがあると思います。この喜びが市東さんの生きがいでもあるのですが。これを共有し、市東さんの農地を守ることの軸にすえてほしい。
二川 現地で共に汗を流し、国家権力への怒りも新たに農地を守る思いを共有したいです。お待ちしています。