東海第二原発 再稼働巡り住民投票へ 「94万人避難計画」は空論

週刊『三里塚』02頁(1042号02面04)(2020/06/22)


東海第二原発
 再稼働巡り住民投票へ
 「94万人避難計画」は空論

(写真 東海第二原発再稼働阻止を誓った昨年の9・22水戸集会)

 6月8日、日本原子力発電(原電)の東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働の是非を問う住民投票条例案の審議が茨城県議会で始まった。市民団体「いばらき原発県民投票の会」が地方自治法で必要と定める署名数(有権者の50分の1)の約1・8倍の8万6703人分の署名を集め、条例制定を大井川和彦県知事に直接請求したことで実現したものだ。住民投票が実現すれば、原発関連では都道府県レベルで初となる。
 東海第二原発は、1978年に運転を開始した首都圏にある唯一の商業炉で、東京から約110㌔に位置している。2011年3・11東日本大震災で津波被害を受け、現在まで停止しているが、18年には原子力規制委員会によって20年間の運転延長が認められ、再稼働が狙われている。施設の老朽化や安全対策の不足に加え、立地30㌔圏内に居住する約94万人の避難計画などが問題になってきた。
 特に再稼働の認可に必要な「広域避難計画」の策定は困難を極め、不可能と言ってもいい状況だ。94万人を数える避難対象住民の避難先は茨城県内に留まらず、福島・栃木・群馬・埼玉・千葉と多くの県にまたがる。避難には無数のバスが必要になるが、茨城県バス協会は放射線被ばくを受ける状況下での対応を強く拒絶しているという。「広域避難計画」は茨城県内の14市町村が立案し、策定する必要があるが、「仮案」でさえまとめることができたのはたった3市に留まっているのが現状だ。
 この間、原電はコロナ禍にあっても、2500億円かかると言われている不必要な再稼働工事を進め、現場作業員の感染リスクを高めてきた。また、今年2月、原電が敦賀原発2号機の新規制基準に基づく審査で提出した地層の調査資料の記述を改ざんしていたことが発覚、6月には80カ所に及ぶことが明らかになった。現場の作業員の命をないがしろにし、再稼働のためには資料の改ざんまで行う、安全無視の原電に原発を再稼働させる資格は一切ない。
 原発の誘致・建設を問う市町村レベルでの住民投票は、過去に3回行われているが、いずれも反対多数の結果を受けて計画は中止となった。今回の条例案は18日に委員会で、23日に本会議で採決される予定だ。
 東海第二原発の再稼働を止め、すべての原発の廃炉まで闘おう。
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