団結街道

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週刊『三里塚』02頁(1042号01面06)(2020/06/22)


団結街道


 「人生は短く科学は長し」。天皇による緊急勅令(議会での承認が必要)で治安維持法の最高刑が死刑に引き上げられたことに死を賭して反対しようと第56回帝国議会前に山本宣治(山宣)が書斎に掲げたスローガンの一つだ▼おそらくはヒポクラテスの格言「アートは長く、人生は短い」のアートをサイエンス(科学)に置き換えたのだろう。実践的なニュアンスのあるアートではなく、理論的な印象を持つサイエンスとしたことは興味深い。死地に赴く自己を奮い立たせるために科学者の誇りを再確認したのではないか▼山宣は、日本で最初の性科学者・性教育者として産児育児制限運動を進め、小作争議の農民指導や京都労働学校の校長としての労働者教育、部落解放運動や女性解放運動にも携わった。そして初の普通選挙で権力による腐敗選挙を打ち破り労農党から国会議員に当選するも、翌年東京神田で右翼に刺殺された。享年40▼スウェーデンの環境活動家・グレタさんは北欧理事会による「環境賞」授与を拒否し、「地球温暖化対策を求める運動に必要なのは賞ではなく、権力者たちが科学に耳を傾けはじめることだ」と訴えた。科学をもてあそぶ専門家は許せないが、科学の前には謙虚であるべきだ▼新自由主義は医療者が守るべきヒポクラテスの誓い(命の選別をしてはならない等)を奪った。山宣が掲げたもう一つのスローガン「戦争撲滅の為奮闘せよ」を若者と共に。
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