4者協議会 「発着50万回」「旅客7500万人」 破産した成長神話繰り返す

週刊『三里塚』02頁(1037号01面03)(2020/04/13)


4者協議会
 「発着50万回」「旅客7500万人」
 破産した成長神話繰り返す

(写真 非公開で行われた4者協議会後の記者会見で発言する森田健作千葉県知事【中央】ら)

 3月27日、富里市のラディソンホテルで成田空港の機能強化をめぐる4者協議会(国交省・NAA・千葉県・周辺9市町)が開かれた。
 ①A滑走路の夜間運用時間延長に伴う騒音防止措置の対象地区や内窓設置工事の対象範囲などを拡大し、②地区の中で数戸だけが移転補償の対象からはずれている場合、希望すれば同一市町内であれば移転を助成することで合意した。③さらに県が年度内を目指してまとめてきた地域振興を掲げた「成田空港周辺の地域づくりに関する実施プラン」を策定した。
 ①について大々的に騒音工事や補償を拡大するかのように宣伝されているが実態は全く異なる。
 今年3月26日時点で、ペアガラスの助成を申請しているのは18件。浴室、トイレなどの外郭防音化については24件。同居の有無にかかわらず子・孫がいる場合は2世帯とみなす防音工事限度額の柔軟化の申請は0件。内窓の設置についても、対象件数874件のうち申請しているのは209件に過ぎない。
 そもそも、横田基地や厚木基地の爆音訴訟で裁判所ですら防音工事の効果は限定的と認めている。多くの住民は「騒音そのものをなくせ」「運用時間延長を撤回しろ」と、工事を拒否しているのが実態なのだ。
 また②についても、地区内の分断をなくす成果のように言われているが、実際は騒特法による移転対象戸数が少数の場合は大多数は移転の対象にはならない。結局は地区内の分断は残る。
 ③の「実施プラン」の計画期間は2020〜32年度。28年度末までに第3滑走路を供用(第1フェーズ)、30年代までに新ターミナルなどを整備(第2フェーズ)することを前提に、「4者で目指すべき空港の将来の姿」を得手勝手に夢想するものだ。
 年間発着枠は現在の30万回(実際の回数は昨年で26万回)から将来は50万回に。時間あたりでは98回。航空旅客数は現状から約3500万人増の約7500万人に。貨物量も1・5倍の約300万㌧に。空港内従業員は2万7千人増の約7万人に。空港外も含めると6万4千人の雇用が増え、生み出される経済波及効果は「空港周辺9市町で約1兆1千億円」と皮算用。
 そして、空港内外の労働者の移住・定住を促し周辺9市町の人口を現在の38万人から2032年には4万人増の42万人とする架空の数字が躍る。
 しかし、成田の成長神話がどこまでも続くことは絶対にない。「実施プラン」の計画期間の2032年までとは、7年も前の2013年に国交省が右肩上がりのGDP予測をもとに長期需要予測を立て、最も早く50万回に到達する上位ケースに合わせたものだ。今回のコロナショックでその計画はご破算となった。巨額の財政をつぎ込み、一度破綻すれば付けを払うのは住民だ。今こそ機能強化を撤回させよう。
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