コロナ解雇許すな!労働者・農民の命守る闘いを 第3滑走路計画 白紙撤回へ 成田空港 大減便の惨状 機能強化の根拠が完全崩壊
コロナ解雇許すな!労働者・農民の命守る闘いを
第3滑走路計画 白紙撤回へ
成田空港 大減便の惨状
機能強化の根拠が完全崩壊
新型コロナウイルスの感染拡大と大恐慌は労働者民衆に大量解雇や閉店・廃業の嵐として襲いかかっている。安倍が7日に発令した緊急事態宣言は労働者民衆の命を守るのではなく、資本主義の延命、大資本を救済するためのものだ。これまで病院の統廃合、民営化・非正規職化、格差の拡大など労働者民衆の生活をさんざん破壊してきた安倍政権の打倒へ向け、今こそ労農連帯を強め自らの命と生活を守る闘いに立ち上がろう。今号では、安倍が進めてきた新自由主義の破産を体現する、成田空港大減便の惨状を暴く。
旅客数激減し経営破綻へ
コロナショックは、成田空港会社(NAA)を直撃している。田村明比古社長は、3月の定例記者会見において「厳しいの一言」と危機感をあらわにした。2020年大恐慌による大倒産・大失業攻撃は、航空会社をはじめとする全航空産業部門を淘汰する。放漫財政を続けてきたNAAの経営破綻は不可避となっている。
コロナショックによる成田空港の現状はボロボロだ。NAAに第3滑走路建設など機能強化をすすめる展望はない。
まず、3月の旅客数は、前年と比べ約7割減少した。
3月1〜21日のNAA速報値によると発着回数は33・8%減の6828回、航空旅客数(出国者)は72・7%減の26万1700人となった。減少は、中国線にとどまらず欧州・太平洋線まで拡大、しかも全世界的な航空需要の減退はこの統計後が本番である。単純計算すれば、3月以降は、1カ月1万回、年間でわずか12万回に。これが現実のものとなるのだ。
成田をハブとする航空大手の全日空(ANA)、日本航空(JAL)の夏季ダイヤは、すでに運休・減便を計画した。ANAは、3月29日〜4月24日の予定便数を当初の計画に比べ約7割となる、3295便を減便・運休する。マスコミで喧伝した大型最新機A380で運航している成田=ホノルル線も運休し、予定していたA380の3号機も受領を延期する。予定した14%のみが運航するという激しさだ。日本航空も同様だ。夏季ダイヤ計画の64%が減便し、3315便欠航する。国際線は85%減の運航となった。
成田空港においては、海外LCCも含めた全航空会社の欠航が際立っている。国内線も半減だ。ANAの成田空港路線では札幌線と福岡線が1日2往復を1往復に減便。JALの成田空港路線では大阪線と中部線を1日2往復から1往復に、新千歳線と福岡線の1日1往復を0にする。
インバウンド政策は失敗に
次に、訪日外客数の減少を見てみよう。観光局が発表した「2月訪日外客数・出国日本人数」によると、訪日外客数は前年同月比(以下同じ)5カ月連続マイナスの58・3%減の108万5100人。NAA速報値3月では航空旅客数(出国者)は72・7%減となっているが、これですら主要各国が出国制限をする前の値である。4月は、それをはるかに上回る減少となる。そもそも出入国数は、世界経済の現状と動向に規定されるが、観光は特に景況に左右される。大恐慌とこれからの世界経済の収縮とブロック化により、自然成長的な拡大予測は成り立たない。
アベノミクスの柱であったインバウンド拡大政策の破綻は決定的だ。アベノミクスとインバウンド需要の増大を見込んだ成田空港需要予測の誤りが赤裸々となっている。
深刻危機に陥る航空会社
成田空港の経営に直接結びつくのが、大手航空会社の収益だ。ここではさらに深刻な危機に直面している。
国際航空運送協会(IATA)は3月24日、新型肺炎の影響で世界の航空会社の旅客収入が、前年比44%減の2520億㌦(約28兆円)落ち込むとの、新たな見通しを発表した。これは、3月5日の見通しの約2倍だ。今日では、アメリカをはじめ各国がそれぞれのフラッグ・キャリア(国を代表する航空会社)を支えようと巨額の財政支援を投入しようとしている。
日本経済新聞の見込みでは、国内航空会社の減収は、2〜5月の4カ月で4000億円に達する。これは、03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の1700億円、08年のリーマン・ショック時の3000億円を超えることになる。
現状はその予測以上に進行している。ANAホールディングスの片野坂真哉社長は、「国内航空業界全体の年間の減収が2兆円に達し、3月下旬時点から倍増する」と予測している。政府は、ANAに1千億円以上の支援をしようとしているが、事業縮小・資産整理を防ぐことなど到底できないだろう。
NAAは、各航空会社の施設使用料の減免や着陸料・停留料の3カ月分の支払い猶予などを検討しているが、航空会社や空港関連会社の倒産を前に焼け石に水である。
航空会社は、労働者の一時帰休・リストラに入った。この首切り・賃下げを許してはならない。NAAは、これまで収益の柱にリテール事業をすえて、商業施設に小売店舗などを誘致してきた。それらの施設の多くは、非正規雇用によって成り立っている。商業施設の営業縮小による雇い止めを絶対に許してはならない。
検疫体制弱く安全を無視
新型コロナ感染拡大によるNAAの経営危機によって、リストラなどの労働者に対する攻撃とともに極限的な労働強化と乗客の安全無視が行われている。その最たる例が、検疫である。成田空港では、一部帰国便の増加で、成田空港の検疫が混雑し、乗客の安全が脅かされている。そもそも新自由主義による成田の検疫体制は、発熱者を特定するだけという貧弱極まるもので、大量のウイルス検査が前提にされていない。新型コロナでは検査の対象を拡大したため、検体を採取する順番を並んで待っている時間が長く、旅客同士の間隔が取れず、「この時が一番感染するのではないかと怖かった」との声も出るほどの状態となった。さらに検査対象を危険特定国73カ国から到着する全旅客としたため、成田では到着した機内でそのまま待機させ順次案内する措置を強行した。これは機内感染の危険を無視した安全軽視だ。
労働者や乗客を犠牲にする安倍政権のNAA・航空会社の救済策を弾劾し、機能強化計画・第3滑走路建設を今こそ阻止しよう。
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