明日も耕す 農業問題の今 日米貿易交渉が最終合意 農業破壊の元凶は安倍
週刊『三里塚』02頁(1025号02面05)(2019/10/14)
明日も耕す 農業問題の今
日米貿易交渉が最終合意
農業破壊の元凶は安倍
9月25日、安倍首相とトランプ大統領はニューヨーク市内で首脳会談を行い、新たな貿易交渉の最終合意を確認する共同声明に署名した。日本農業への影響は計り知れない。これは本格的な日米FTAの始まりだ。
貿易交渉で、日本側はコメの無関税枠は設けなかったものの、アメリカ産牛・豚肉の関税をTPPと同水準に引き下げることになった。アメリカ通商代表部(USTR)の発表によれば、日本は約72億㌦(約7760億円)相当の米農産物について関税を撤廃ないし削減する。
他方、アメリカ側は産業機械や化学品、鉄鋼製品など自動車を除く工業品について関税を撤廃、削減するが、安倍政権にとっては肝心の自動車や関連部品の関税撤廃で譲らず、継続協議となった。
安倍は、「日米双方にとり、ウィンウィンとなる結論を得ることができた」とうそぶくが、これを真に受ける者など誰もいない。新聞報道は、「強気の米 日本譲歩」(読売)、「防戦重ねた日本」(毎日)と結果に懸念を示す見出しを並べた。
脅かされる生活
だが、今回の合意は始まりに過ぎない。トランプは「包括的な協定になるべく、さらに交渉する」と語り、ライトハイザーは20年春以降に「第2ラウンド」に入ると強調している。
交渉が貿易促進に向けた関税や他の貿易上の制約、サービス貿易、投資への障壁などを含む段階に進めば、TAG(物品貿易協定)なるペテンはたちどころにはがれ、文字通りの日米FTA交渉となって私たちの日常生活にさまざまな影響が及ぶものになるだろう。
例えば、アメリカ製薬業界やバイオ業界が繰り返し要求している「薬価」や「遺伝子組み換え作物」「ゲノム編集」や「農薬」などの分野がテーブルに乗る。消費者庁は9月19日、「ゲノム編集」した食品について表示を義務化しない方針を示したが、これは先取り的な国内整備に他ならない。
国際連帯を求め
だからと言って、トランプが悪者で「安倍よ、もっとしっかりしろ」という話では全くない。実はアメリカ以上に自由貿易協定を推進しているのは日本なのだ。
例えばRCEP(東アジア地域包括的経済連携)交渉で日本政府は、アジアの諸国に対して医薬品特許の保護延長や、植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV1991)の批准の義務化を提案している。
これに対して、インドやタイ、ラオスの人びとが日本に対して「医薬品を奪うな!」「農民から種子の権利を取り上げないで」と訴えているのだ。(内田聖子氏『TAGの正体』より)
政府・資本家どもによる、市場・資源・勢力圏の奪い合いなのだ。労働者と農民が団結し、国際連帯を求めて政府・資本家どもと闘うことこそ、私たちの生きる道だ。