事故直後にA滑走路再開 安全無視・ダイヤ優先あらわに

週刊『三里塚』02頁(1011号01面02)(2019/03/11)


事故直後にA滑走路再開
 安全無視・ダイヤ優先あらわに

(写真 誘導路から外れ立ち往生した日航機。エンジンが地面に接触寸前まで傾いている【2月1日】)


 成田空港での日航機立ち往生事故は、NAAの安全無視の姿勢をあらためて突き出した。
 2月1日午前7時前、インド・デリー発の日航機740便(ボーイング787―9型、乗員乗客201人)がA滑走路に着陸した直後、高速離脱誘導路をターミナルビルに向けて走行中に、前夜からの雪と寒気で凍結した路面でスリップし、左主脚が誘導路から逸脱し、ぬかるんだ地面にめり込み動けなくなった。タイヤの半分が埋まるほどで機体は大きく傾き、完全に立ち往生した。
 左主翼端とA滑走路中心線の距離は、約120㍍。他の機がA滑走路で次々と離着陸をする上で、この近さで動けない機体がとどまっていることは、非常に危険な状態だ。
 NAAは午前7時にA滑走路を閉鎖したが、機体と滑走路との距離を正確に測ることなく、「牽引車で移動できる」との見込みで7時54分に再開した。
 2014年の国交省の指針では、①止まった機体と滑走路の中心線の距離を正確に測る、②着陸機がやり直しをする際に必要な空間に支障がないか確認する、③機体が滑走路中心線から150㍍以内にある場合、到着機は目視で進入する「条件付き運用」とする----などと定めている。(目視進入にするのは、停止した機体が計器進入のための電波に悪影響を及ぼす可能性があるため。)
 NAAがこの指針を完全に無視して、「条件付き運用」とする航空情報も出さなないまま再開したことに、社内から疑問の声が上がり、A滑走路は午前8時45分に再び閉鎖された。
 10時にタラップを横付けして乗客を下ろした。そして、深く沈んだ主脚タイヤの周囲の土を掘ったりしたが、動かす見通しがまったく立たず。滑走路中心線との距離を測定したのがやっと午後2時15分、その上で機体をその場に残したまま2時50分に再開した。航空情報を出したのは3時2分だった。
 閉鎖は延べ約7時間で、その間はB滑走路だけで運用し、49便が欠航、到着11便が他空港に向かうなど400便以上に影響が出た。機体移動は、結局翌朝まで約22時間手がつけられず。
 国交省航空局空港安全室は2月8日、国の指針を守るよう文書で指示を出した。
 重大事故が起きていながら、NAAは現状を確認せず、甘くずさんな見込みで滑走路を再開した。乗員、乗客の安全をなんと考えているのか! もうけのために発着回数の増大をひたすら追い求めて過密ダイヤを組んできた結果がこれだ。
 この上に進める「機能強化」は、一層事故を呼び寄せるものとなる。第3滑走路建設を住民とともに阻止しよう。

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