明日も耕す 農業問題の今 大型貿易協定が農家直撃 農家つぶす「安倍農政」

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週刊『三里塚』02頁(1010号02面04)(2019/02/25)


明日も耕す 農業問題の今
 大型貿易協定が農家直撃
 農家つぶす「安倍農政」


 TPP11、そして日欧EPAと大型貿易協定が相次いで発効した。かつてない農産物自由化は、農業生産の現場と労働者の「食の安全」を直撃する。農民は立ち上がらなければもはや生きていけないところに来ている。

 昨年12月30日に発効したTPP11では、直ちに農林水産物の53%の関税が撤廃された。最終的に約82%で関税を撤廃する。重要品目では撤廃しなかった品目もあるが、段階的な削減や輸入枠設定を受け入れた。
 2月1日に発効した日欧EPAでは、輸入農産物の82%で関税を撤廃し、EUの関心が高いチーズや豚肉など重要品目でも関税削減や輸入枠を受け入れた。一部の品目ではTPPを超える譲歩を受け入れている。農水省は日欧EPAで農林水産物の生産額が最大1100億円減少すると試算している。
 そしてこれから交渉が始まるTAG(事実上の日米FTA)をめぐっては、米通商代表部(USTR)は昨年12月21日、幅広い分野を盛り込んで包括的な協定を目指す交渉方針を発表している。「物品に限った協定」と説明する安倍政権のペテンはもはや通用しない。

早くも輸入急増

 TPP11の発効で、早くも牛肉輸入が急増している。
 財務省のまとめで、TPP参加国からの1月の牛肉輸入量は、前年同月分を6割(1万1733㌧)上回り3万㌧となった。また、日欧EPAの発効で、小売業界ではワインやチーズなどの値下げ競争が早くも始まっている。
 世界中で新自由主義が破綻し、各国政府は争闘戦に勝つために貿易戦争を発動し、労働者農民に犠牲を強いて生き延びようとしている。相次ぐ大型貿易協定と国内の農業関連法改悪は、安倍政権と資本家が農業を切り捨てて延命しようとするものだ。労農連帯と国際連帯で新自由主義と対決し、安倍政権を倒さなければ、農業を守ることも、農民が生きることもできない。

農民会議に集い

 闘いは急務だ。全国農民会議共同代表の小川浩さんが警鐘を鳴らしている。
 「いま本当に離農せざるを得ない農民の現実が全国から報告されています。特に花卉(かき)農家は、ものすごい低価格の競争で次々と廃業せざるを得ない状況にある。農民を守らないどころか農民をつぶしにかかっている安倍政権を打倒する以外ない」
 「ただ単に農産物の価格が下がるだけじゃなく、安倍政権は日米FTAをにらんで食糧の安全性そのものを多国籍企業に売ろうとしている。BSE規制を取り払い、遺伝子組み換えの農産物もどんどん入ってくるような事態がすでに進行している」
 今こそ全国の農民は農民会議に結集し、生きていくために共に闘おう。労働者とともに安倍政権打倒に立ち上がろう。
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