団結街道

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週刊『三里塚』02頁(0999号01面06)(2018/09/10)


団結街道


 『現代農業』9月号に掲載されたエッセイ「特攻機『桜花』発射基地跡にある畑から」に感銘を受けた。筆者は平成の米騒動をきっかけに千葉県南房総市で有機農業を営むことにした農家だ▼04年に、自らが住む房総半島南部には、第2次世界大戦末期に本土決戦で九十九里浜から首都制圧に向け上陸してくる米軍から守るために構築された「戦争遺跡」が数多く残されていることを知り驚く。近くの畑の真ん中に特攻機「桜花」の発射基地跡があったのだ▼「桜花」は乗員一人で脱出装置なし。母機に吊され、上空で切り離される。固体燃料ロケットで加速させ滑空しながら体当たりする別名「人間爆弾」。これを地上から発射させる改良型機の開発が進められ、発射台が建設される予定だった。現在も基礎のコンクリートが残る▼安倍政権が改憲を公言した06年。「戦争はもはや単なる歴史上の出来事として片づけてしまえない時代が来た」と有志を募り「遺跡」の保存活動を行うようになったそうだ▼「命の糧を得るための農地に、自爆攻撃によって人の命を奪う兵器の基地をつくろうとしていた」「未来を担うはずの若者たちの命と引き換えに、国を守ろうとした」ことは今の社会で起きていることにも通じると筆者は述べる▼命を育む農地を戦争から守る三里塚は闘い続けている。「代償を求めず若者の未来のために」。故北原鉱治事務局長の声が聞こえた。
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