北総の空の下で 種子法廃止 企業がタネを支配
週刊『三里塚』02頁(0998号02面04)(2018/08/27)
北総の空の下で
種子法廃止
企業がタネを支配
19日、同盟一斉行動で周辺地域を回りました。早くも田んぼは黄金色の濃淡に波打ってちらほらと稲刈りが始まっていました。戦時中女学生だったというお婆ちゃんは、夜なべで作った米俵、家族総出の稲刈り、握り飯のうまかったことを昨日のことのように語ってくれました。種子用米まで食べつくし、飢えをしのぐために高級反物と米1合が交換された時代がありました。
その痛切な反省から生まれたのが主要農産物(米・大豆・麦)種子法です。都道府県の農業試験場が地域の特性を活かした奨励品種を開発して種を採り、安く農家に提供して主食を守るための法律です。コシヒカリ一つとっても県によって独自性があるほど、多様な品種が私たちの食生活を彩ってきました。今年も新米の季節を迎えて、湯気の立ったご飯をおなかいっぱいほおばることに何の疑問も持たないあなた、種子法が廃止されたのを知っていましたか?
安倍政権は、たった12時間の審議で種子法を廃止し、主食を多国籍企業が狙う自由競争市場に投げ出したのです。県条例で、品種の画一化と種代の高騰から地元品種を守る動きもあります。
実は戦前の日本は、朝鮮植民化政策で種子支配を実践していました。稲の耐冷品種と化学肥料を日本から持ち込んで増産した米を持ち帰り、朝鮮の農業を荒廃させたのです。
種子を制するものは世界を制す——古今東西の戦争は食糧争奪戦の代名詞です。
北里一枝