明日も耕す 農業問題の今 農業を「スマート化」? 未来投資戦略18の正体

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週刊『三里塚』02頁(0996号02面05)(2018/07/23)


明日も耕す 農業問題の今
 農業を「スマート化」?
 未来投資戦略18の正体


 西日本豪雨災害は、新自由主義による人災であり、安倍による国家犯罪だ。甚大な農業被害も農業つぶしのきっかけにされかねない。それが前号の「バーチャル特区」をも含んだ「未来投資戦略2018」だ。

 「未来投資戦略2018」は、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針)などとともに6月15日、閣議決定された。
 骨太方針は「経済財政の基本方針」でありながら、「国家安全保障」を強調し、改憲を先取りする軍拡と戦争準備を打ち出している。侵略戦争と国内階級支配のための方針であり、これと一体で未来投資戦略がある。
 骨太方針のひとつ「生産性革命」では、デジタル化・オンライン化とAI・ロボット化、無人自動運転や、民営化の推進、現行法規制を全面停止する「サンドボックス(砂場)制度」、国家戦略特区の活用(バーチャル特区もそのひとつ)が記されている。

狙いは企業参入

 未来投資戦略は、これらを実現するために従来型の制度・慣行や社会構造を一気に変えてしまおうというものだ。
 その中で、農林水産業においては「スマート化」がうたわれている。
 農業のあらゆる現場で、センサーデータとビッグデータ解析による栽培管理の最適化をはかり、AIによる熟練者のノウハウの伝承可能化、ロボット、ドローンによる無人化・省力化まで押し進め、規模拡大・生産性向上につなげようというものだ。
 これが企業の農業参入と一体であることは、火を見るより明らかだ。
 実際、農水省は、企業が農家のデータを共有し、新しいサービスにつなげるしくみ「農業データ連携基盤」を2019年4月に稼働させようとしている。同基盤では、気象や地図の他、収量などの農家データを蓄積して企業に提供し、ICT(情報通信技術)を活かしたスマート農業の開発につなげるというのだ。

未来を奪い返せ

 こうした農業でもくろんでいるのが農産物の海外輸出だ。
 海外のニーズや規制に対応した生産・加工体制の整備、米の価格競争力強化・高付加価値生産の推進等によって、海外の買い手が欲しいものを、欲しい量だけ、欲しい時期に輸出する「グローバル産地」を形成するのだと未来投資戦略はうたっている。
 新自由主義による生産年齢人口の減少が日帝資本を締め上げている。しかし、未来投資戦略は、それを逆手にとって「失業問題といった社会的摩擦を引き起こすことなくAIやロボットなどの新技術を社会の中に取り込むことができる」と言いなしているのだ。冗談ではない。労働者の団結を破壊し、耕す権利を奪おうというものだ。
 農業の「スマート化」など、決して農民のためのものではない。安倍から未来を奪い返そう。戦争と金もうけのために社会を壊す安倍を倒そう!
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