明日も耕す 農業問題の今 歯止めなき規制緩和推進 「バーチャル特区」を指定

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週刊『三里塚』02頁(0995号02面04)(2018/07/09)


明日も耕す 農業問題の今
 歯止めなき規制緩和推進
 「バーチャル特区」を指定


 安倍政権は6月29日、働き方改革関連法案を強行成立させ、TPP11関連法も強行可決した。断じて許せないが、安倍の悪行はこれにとどまらない。今回は歯止めなき農業規制緩和としてのバーチャル特区を検討する。

 安倍政権は6月15日、新たな成長戦略「未来投資戦略2018」を閣議決定した。
 働き方改革関連法にとどまらず、大企業が競争に勝ち抜くために「最先端の取り組みを伸ばし、日本経済全体の生産性の底上げを図る」と称して、さまざまな社会のしくみを変えてしまう、とんでもないプランだ。
 農業については「スマート農林水産業の実現」を掲げ、「農林水産業全体での先端技術の実装を速やかに進めていく必要がある」としている。
 総体を徹底的に批判しなければならないが、特にこの中に盛り込まれた「バーチャル特区型の指定」は見過ごせない内容だ。

仮想地域として

 バーチャル特区(革新的事業連携型特区)とは、国家戦略特区の一つで、特定分野の規制緩和に取り組む複数の市町村をまとめて一つの特区として指定するものだ。地図上はつながっていなくても、特定分野の規制緩和にそろって取り組む仮想地域であるとして、バーチャル特区と呼ばれる。
 安倍政権は、すでに国家戦略特区の指定を第3次まで行っていて、10区域が指定済みだ。そして、第4次指定を今夏にも行う方針で、その際の手法としてバーチャル特区型の指定を採用するというのだ。
 これまでは、60以上の規制緩和項目の中から複数の項目で取り組むところを特区に指定してきた。バーチャル特区型の指定では、一つの項目でも指定すると言い、特区指定が受けやすくなる。
 国家戦略特区は、限られた地域で規制緩和を実証し、問題点を把握した上で全国展開の是非を判断するというのが建前だが、バーチャル特区型の指定は、こうした枠組みをあからさまに崩し、歯止めをなくするものだ。

農地所有解禁も

 政府は昨年、規制緩和の項目に農業での外国人労働者の受け入れを加えた。
 6月14日の国家戦略特区諮問会議で竹中平蔵らは、「特区に未指定の自治体から農業への外国人労働者の受け入れ要望が強い」として、バーチャル特区で取り組むよう求めた。
 これについて、竹中がかねてより「企業の農地所有解禁」を主張していることから、「産地の要望をてこに外国人労働者の受け入れでバーチャル特区を実現させた上で、企業の農地所有解禁をこの枠組みで全国に広げる狙いではないか」(日本農業新聞)との指摘もある。
 安倍政権は、なし崩しでも企業の農業参入を進めようとしているのだ。そこに「農民としての誇りを持って生きる」と立ちはだかっているのが市東さんはじめ反対同盟農民の農地死守の闘いだ。あらためて強制執行阻止の陣形を強固につくり上げよう。
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