明日も耕す 農業問題の今 「農地バンクで収入増」? 企業の農地所有後押し

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週刊『三里塚』02頁(0994号02面05)(2018/06/25)


明日も耕す 農業問題の今
 「農地バンクで収入増」?
 企業の農地所有後押し


 前回、「コンクリート農地」の問題を取り上げたが、それ以上に企業の農地直接所有に道を開こうというのが「農地バンク」だ。耕作放棄地が増大する中、分散された農地を集積する農地バンクの問題は何か。
 農地バンク(農地集積バンク)とは、貸したい・売りたい農地を集め、借りたい・買いたい農業経営者に提供していく仕組みとされ、都道府県別に設置された「農地中間管理機構」が窓口となっている。
 安倍首相は、「攻めの農業」をかかげて、分散化された農地を集積し、農業経営を拡大したい人に利用させることで、農業の効率化と収入増を図ると言いなした。
 2016年時点の所有者不明の土地面積は九州を上回る推計約410万㌶だという。
 今年6月6日の参院本会議では、所有者不明の土地を知事の判断で期限付きで公益目的に使える特別措置法が成立した。
 これに先立つ2014年の農地法改悪では、所有者が不明の耕作放棄地に知事裁定による利用権を設定し、農地バンクを通じて貸し出す仕組みが導入されている。
 長年の農業切り捨て政策で耕作放棄地を増やしておきながら、あからさまにそれを奪いとる法律をつくろうというのだ。

実質的な解禁

 しかし、肝心の農地バンクが全くうまくいっていない。
 農地バンクの農地集積は、目標を大きく下回り、むしろ市町村やJAなどが実施主体の「農地利用集積円滑化事業」が、現場密着で大きな実績をあげてきたのだ。
 安倍政権はこれを逆テコにしようとしている。
 施行後5年をめどとした制度見直しの来年に向けて、規制改革推進会議は6月の答申で、①農地集積バンクを軸とする農地集積の一層の推進、②農地所有適格法人(農業生産法人)役員・構成員要件の見直しを検討課題に挙げ、今年度中に結論を得るよう提起した。
 ①は、JAなどの農地利用集積円滑化事業を廃止し、農地バンクに一本化しようというものだ。②は農業生産法人の企業による経営支配に道を開き、実質的な企業農地所有の解禁を意味する。
 そして、6月15日、政府は新たな規制改革実施計画を閣議決定した。

耕す者に権利

 農地バンクを創設した当時は、「所有から利用に明確にかじを切る」として、農地所有の意図を押し隠していたが、今やあからさまに企業の農地所有に突き進もうとしている。限りなく企業の自由にしたいのだ。
 このほか今回の農業関連の法改悪では、複数所有者の過半が不明でも、農地を農地バンクに貸せるようにし、期間も最長5年から20年にした。
 耕す者の権利を踏みにじり、企業の農地所有に向かう動きに、敢然と立ちはだかっているのが市東さんだ。
 6月28日、耕す者の権利を体現して、市東さんが千葉地裁で証言に立つ。傍聴に集まろう。
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