明日も耕す 農業問題の今 TPP11が「最終決着」 国内農業に打撃不可避
週刊『三里塚』02頁(0987号02面05)(2018/03/12)
明日も耕す 農業問題の今
TPP11が「最終決着」
国内農業に打撃不可避
米帝トランプ政権の離脱で漂流しかけたTPP(環太平洋経済連携協定)。安倍政権は、米国をのぞく11カ国による協定(TPP11)を早期発効させてからトランプに復帰を促す戦略で交渉を進めてきた。
このTPP11が、1月23日に東京で開かれた首席交渉官会合で「最終決着」した。3月8日に南米チリの首都サンティアゴで署名式が開かれ、条文が最終確定する。その後、各国が議会での承認など国内手続きを進め、6カ国が手続きを終えれば発効することから、早ければ来年にも発効するというのだ。
安倍は1月31日の参院予算委員会での質疑で「まずはTPP11の早期署名・発効の実現を最優先に進める」と強調し、今国会でTPP11の承認案と関連法案の成立を目指している。その一方で、トランプ大統領に復帰を働きかけるとしている。
他方、トランプも、「以前結んだものより十分に良いものになればTPPをやる」と再交渉を前提に復帰を検討する考えを表明した。
〝市場開放〟要求
風雲急を告げてきたTPP11の合意内容は、国内農業への打撃が避けられないものだ。従来の合意内容のうち、医薬品のデータ保護や著作権保護期間など22項目については、アメリカがTPPに復帰するまで効力を凍結することになった。
ところが、日本の農業関係者がアメリカの離脱を踏まえて修正を要望していた関税分野について、政府は修正・凍結の提案すらせずに、元のTPPの農産物の市場開放水準をそのまま容認したのだ。
何が起きるか。たとえば「牛乳・乳製品」の低関税の割当て(生乳換算7万㌧)には国別枠がない。この輸入枠を、ニュージーランドなどの産品が占有する可能性が高い。その後、アメリカがTPPに復帰した時や、復帰しないで日米2国間交渉になった時に、さらに追加枠を求められることが想定される。政府は、新たな協定の条文(6条)で合意内容の見直しが担保されていると言うが、各国が協議に応じたとしても、実際に見直しを認める保証はない。むしろ、日本の見直し提案に対し、反対に輸入拡大を求める提案だってできる。TPP11は日本の農業にアメリカを含めたTPP12を上まわる悪影響を与えかねないのだ。
再度反対の声を
また、TPP11の影響試算で農水省は、国内農業生産量の減少がゼロに抑えられるとしている。政府の打つ農業体質強化策がコスト削減や品質向上といった効果を発揮するので、価格は一定程度下がっても、生産量は維持できるというのだ。コスト削減や農業製品の価格が下がるということは、農家への負担が増すということに他ならない。断じて認められない。しかも、「影響がないように対策を取るから影響がない」では、およそ理屈になっていないではないか。いずれにせよ、資本家の金もうけのために日本の農業を破壊するTPP11を認めるわけにはいかない。あらためてTPPに注目しよう。今国会での承認強行を許すな!
労働者と農民が団結し、TPP絶対反対の声をあげよう。