動労水戸副委員長 辻川慎一さんに聞く 〝三里塚を闘い時代の前面へ〟

週刊『三里塚』02頁(0987号01面04)(2018/03/12)


動労水戸副委員長 辻川慎一さんに聞く
 〝三里塚を闘い時代の前面へ〟



(写真 1986年11月26日の動労水戸結成大会。全員が20代で新組合を結成。【『燎原の火のごとく』より】)

(写真 辻川さんと今井行動隊長が握手)


 辻川慎一動労水戸副委員長に動労水戸結成時の三里塚とのかかわり、改憲阻止決戦を闘う主体形成の場としての三里塚を闘う動労総連合の決意と展望についてうかがった。(聞き手・今井治郎)

 高専の時、初めて三里塚に行った。そこで出会ったのが動労千葉だった。動労千葉が来ると反対同盟が、「真ん中を開けてください」って、なっぱ服を着た数百の動労千葉の人たちがざーっと入ってくる。すごくかっこよくて。それを見た瞬間に僕はこれをやるって思った。
 それで国鉄に入って動労青年部として職場で革マルと闘争を始めた。動労千葉が正しいのか間違っているのか、動労千葉はすでに分離独立しているから直接結びつけるのは難しいんだよね。だけど三里塚に行くと動労千葉がいる。だから動労青年部での僕らの組織化は三里塚に青年を連れていくことだった。
 茨城の青年は農家の出身が多くて、農民の闘いに非常に共感するんだよね。農民と一緒に闘っている動労千葉は正しい。それを非難する革マルはおかしいって。
 たぶんね三里塚に行ってなかったら動労水戸はできなかった。国鉄分割・民営化攻撃は国の方針で、逆らうと首がなくなるということだった。直接的には85年の2期工事阻止の10・20の闘いを目の前で見たことが決定的だった。
 全学連は、機動隊に突っ込んで獄中何年かくらってるのに、首くらいなんだって。分割・民営化はくそくらえだ、ビビってられるかって。86年に動労水戸を結成して、真新しいヘルメットで登場するとみんなすっごい喜んでくれた。
 だけど攻撃は激しくて、みんな遠方に配転されて現場にいない。普通だったらつぶれている。

動労千葉ジェット闘争

 でも三里塚という結集軸があった。一番苦しい時期に成田用水の十何㌔のデモを家族と一緒にひいひい言いながらやったり。それだけじゃないけど、三里塚を闘ってきたのは大きかった。
 「労働者階級が三里塚を闘う反権力闘争の砦」と言われているけど、確かにそうじゃないかな。
 動労千葉は労農連帯を貫いて、ジェット燃料貨車輸送阻止闘争を首を切られながら反対同盟農民と一緒に闘った。動労千葉が動労本部革マルと分裂したのは、三里塚問題と貨物をストライキの対象からはずすという二つの転向に対して、階級として反対同盟農民を絶対に裏切らない、守るとやりきった。三里塚闘争がなくて動労千葉があるとか、動労千葉がなくて反対同盟が残るとかいうことはなかったと思う。相互的な関係で階級が階級として鍛えられた。
 安倍政権は今、労働者を交換自由な存在にしようとしているけど、一つひとつの仕事をきちっとやるということはそんな簡単なことじゃない。体の向きから精神の発動から含めてガラッと変わるんだよね。そうじゃなければ、労働から価値は生まれない。取り換え可能な簡単な機械でできることじゃない。

福島の農民たちと共に

 それと、農民が自然を対象に労働する農業も、命を生みだす本源的なものだよね。全精魂を傾けて土を作るというところから始まる。ぜんぜん交換可能じゃない。それを近代的な技術を駆使すれば何でもできると、殺人兵器からの派生である化学肥料や農薬をぶちこんでさ。命を奪うものを駆使して農業と言い張るものとの根本的対立がある。
 労働者階級が「労働の奪還」と言って、自分たちの労働は社会のものであって資本のものではないと闘っていくプロセスと、反対同盟が貫く農地の安全を守る農業を続けていることと通底するところがある。
 福島の避難者で住宅追い出しにあっている人が、何で立ち退かなければならないんだって怒って「三里塚のようになるしかない」って言っている。その三里塚闘争というのは、熱田派だとかじゃなく、今不屈に闘われている三里塚闘争。北原さん、市東さん、萩原さんの闘いがなければそんな言葉は出てこない。
 また、最も農業農民問題の破綻した姿が福島にある。だから三里塚闘争の地平に立ちきって、福島の最も戦闘的な農民たちと一緒に考え、労農連帯を確立し、闘いの主体を登場させたとき、全国の農業農民問題にとっても決定的な地平をひらく。
 それから築地も、小池が嘘とペテンで10月に豊洲に移転すると言っている。「中核派とだけは一緒にやっちゃだめだ」ということを最後の生命線にして闘いを抑えてきた共産党は、もう反対できないと言い始めた。だけど、10月で闘いが終わるんですか。まさに築地も三里塚闘争化する。
 しかも、反対同盟が農地の安全を守り、遺伝子組み換えとだとか、殺虫剤だとかふざけるなという闘いを貫いていることと本質は通底している。東京ガスによって汚染された土地で食品を扱おうとしていることに、築地の人たちは、自分たちの共同性の中で、お互いを支え合いながら、食の安全にすごく誇りを持っている。
 これから3年くらいの改憲・戦争、オリンピック・天皇制をめぐる決戦が平和裏に進んでいくことはありえない。必ず内乱的激突になる。

革命的激動を切り開け

 全学連が三里塚に最初に入って、存在をかけて命がけで闘い誰が何と言おうが揺るがない、すごい信頼を反対同盟から得たような、その路線、思想、精神を甦らせて首都東京を中心に人民が闘っているところに行って一緒に闘うことが決戦を準備する。
 古い左翼は「時の人」の所に寄っていってよいしょし、持ち上げて自分たちに囲う。それが自分たちの運動であるかのように自己満足する。「労働者や農民はしょせんダメで、手練手管を使わないともたないんだ」というような人間観で根本的に違っている。
 革命的共産主義者同盟は、60年安保闘争を総括して労働者党建設だと 62年に3全総、66年に3回大会をやり、世界情勢認識をはっきりさせて、新左翼含め全党派が決戦にならないと言っていた70年闘争に向けて闘った。3全総では、①戦闘的労働運動の防衛と創造、②地区党建設、③革命的統一戦線戦術という三つの方針を出した。プロレタリア革命を目指す、プロレタリア独裁の今日的貫徹形態として出した。これに恐怖した革マルは脱落・逃亡した。
 統一戦線戦術の問題も、自分たちの考えを薄めて乗っかるんじゃなくて、激突の最先端で本当に心を合わせ一緒に闘っていく。路線化し、自分たちが新しいものを切り開くというのがあって革命的大激動が切り開かれる。自分の力で情勢を主体化して闘い、新しい展開と情勢を生みだす。そして情勢化した主体が次の展開を切り開く。それを苦闘しながら自力で切り開いた者と、単に切り開かれたところにふわっと乗っかりあたかも自分たちがやったという者との決定的な違いがある。
 それは沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の路線のもとに70年闘争を星野文昭さん、大坂正明さんが責任者として先頭で切り開いたものなんだ。だから、本当に苦しい思いもいっぱいあったと思うけど、微動だにせずに闘ったことに誇りをもっている。国鉄闘争も30年間、強靭な闘いをしている。
 新自由主義の中で、大学は営利が目的だと学生自治会と激突になる。農業も土地も水も全部大資本が牛耳って、人間の営みを根本から破壊する激突になっている。

階級の党をつくる決戦

 革命の根本問題が統一的に描けるようになってきたと思うけど、まだわれわれは矛盾と緊張をはらみながら進んでいる。
 2020年までの決戦は今の時代に通用する階級の党をつくる決戦だ。決戦を指導、牽引できる人間を打ち立てられるかに一切がかかっている。労農連帯で三里塚闘争を闘うことは、労働者階級が本当に社会の主人公になっていくために自分を打ち鍛え、階級として打ち立てる決定的な場なんだと思う。右翼、共産党、体制内労働運動も含め、資本とも激突しない、権力とも激突しない、そんなものに何ができるのか。弾圧に屈せず闘う全学連があったから動労総連合の青年たちが立ち上がることができた。三里塚を闘う動労総連合、三里塚を闘う学生自治会を時代の前面に登場させよう。

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