安倍農政との対決を 福島で全国農民会議総会

週刊『三里塚』02頁(0985号02面01)(2018/02/12)


安倍農政との対決を
 福島で全国農民会議総会

(写真 明快な講演を行った講師との間で活発な質疑応答が行われた【1月27日 福島県二本松市】)

(写真 吉沢正巳さん)

(写真 市東孝雄さん)


 1月27〜28日、福島県二本松市で全国農民会議の第6回総会が開催された。全国から農民、農業関係者が結集し、活発な議論が行われた。安倍「農業改革」を根底から批判し、福島・三里塚に連帯し、実力闘争で勝利の道を切り開くことを誓い合った。

農業破壊と改憲は同根

 総会の冒頭、小川浩共同代表があいさつに立ち、「今年は改憲を阻止する重要な年。安倍農政の本質は農業つぶし、農民の大量首切りだ。三里塚闘争の不屈の52年の闘いに学び、この中で築かれた労農連帯、国際連帯をさらに発展させよう。安倍政権打倒へ、全国農民会議は飛躍をかけて決起しよう」と力強く呼びかけた。
 1日目は記念講演と福島からの報告が行われた。「アベノミクス農政の本音と2018年度減反廃止」と題した講演は、安倍「農業改革」の全貌を暴き、農業破壊と改憲攻撃の一体性を全面的に明らかにした。安倍の所信表明演説と農業改革8法案を批判し、「農業競争力強化」「攻めの農業」などの触れ込みは、競争をあおって中小の農家を切り捨て、農村を多国籍企業の草刈場とするものだと断じた。そして農業破壊と憲法改悪は、地方切り捨て、人権剥奪を進める同根のものと指摘し、「安倍政権打倒が99%のための農政転換への近道」と明快な結論で締めくくった。
 「希望の牧場」代表の吉沢正巳さんは「浪江町に住民の2%が戻ったとされるが、約半数は役場職員ら復興、除染の仕事の人だ。3・11事故を忘れない場所として、300頭近い牛を飼っている。一方で、道一本隔てた場所に千頭の搾乳施設を復興のシンボルとしてつくろうとしている。原発の時代をのりこえるために〝原発一揆〞、安倍打倒の実力闘争が必要だ」と熱烈に訴えた。
 夜の交流会も大いに盛り上がった。

国家権力との勝負の年

 2日目は、三里塚芝山連合空港反対同盟の市東孝雄さんのあいさつから始まった。「農地は私の命であり、それを取り上げるのは農業をやめろということだ。2018年は国家権力との真っ向から勝負の年。北原鉱治事務局長、萩原進事務局次長の遺志を継ぎ闘う」との固い決意を表明。さらに三里塚現闘員が、集会妨害で反対運動つぶしの先兵となる相川勝重・芝山町長を徹底弾劾し、成田空港機能強化案を粉砕する決意を述べた。
 続いて福島県労組交流センターと動労福島があいさつし、動労福島の橋本光一委員長は、「農民や労働者が自らの使命をまっとうできる社会をつくるためには、資本主義という仕組みを壊さなければならない。ともに安倍政権へ、3・11福島行動へ結集してください。私たちも常磐線開通阻止ストを闘う」と力強く訴えた。
 秋山和雄事務局長が議案を提起。「安倍政権は戦争・改憲と一体で、農業改革関連8法を成立させ、農業破壊の攻撃をかけている。特に18年度減反政策廃止で米の安定生産・価格保証をやめて、『農業従事者90万人』へと農民を半減させようとしている。労働者・農民、民衆が不満と怒りを充満させているこの時、闘いの方向は、社会の生産を担う労働者と農民による新しい社会の建設である」として、①全国で組織拡大へ、②安倍農政絶対反対、③安倍政権打倒、戦争・改憲阻止、④市東さんの農地を守る、⑤原発再稼働阻止、3・11反原発福島行動へ、の5つの運動方針を提起し、全体の拍手で確認された。

全国で仲間を増やそう

 参加者からは、「高江の米軍ヘリ墜落事故現場は農民が丹精込めて育てた牧草地。ヘリ搭載の放射性物質が飛散したことで米軍は7トントラック5台分の土を運び去った。これへの抗議闘争に立った」(沖縄)、「原発事故から7年目を迎えるが、まだ線量の高い場所がある。五輪で事故を消そうとする安倍を許さない」(福島)など、各地の運動の報告、決意が語られた。
 特に4月に廃止される種子法について活発な論議が行われた。これまでは、都道府県の義務と責任で米・麦・大豆の優良な種子を農民に保証してきた。廃止によって民間業者への種子の開発・研究の情報が流され、種子が多国籍企業に支配され、遺伝子組み換え作物の種子と除草剤がセットで高額で売られる、毎年種を買わないと作物が作れない̶̶との危機感を共有した。
 議案と決算・予算の承認のあと、山梨支部の農民が「かつて重税に苦しみ、山梨から江戸幕府への直訴に及んだ農民と気持ちが通じる。また来年、仲間を増やして集まろう」とまとめた。
 今総会で安倍「農業改革」と全力で闘うことを確認した。福島・三里塚の農民と一体で安倍政権打倒・改憲阻止へ実力闘争で闘おう。全国農民会議の飛躍の1年にしよう。
(岡山・内藤大一)

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市東さんの発言

 北原鉱治事務局長の遺志を継ぎ、国家権力と真っ向から勝負する18年にしたいと思います。私にとって農地は命そのものです。お金の問題じゃない。100年耕し続けた畑は私の居場所です。みなさんの力をお借りし、横のつながりをつくりながら、これからも農地を守り闘い続けます。

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