新やぐら裁判 〝土地買収は違法〟 裁判長の拙速指揮を弾劾

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週刊『三里塚』02頁(0984号01面04)(2018/01/22)


新やぐら裁判
 〝土地買収は違法〟
 裁判長の拙速指揮を弾劾

(写真 内田博久裁判長)

(写真 裁判報告会で勝利の決意語る萩原富夫さん【1月22日】)


 1月22日、新やぐら裁判が千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で開かれた。2018年最初の三里塚裁判で、現地勢力、千葉の労働者・支援者が結集し、意気高く傍聴闘争を闘った。
 前回弁論で早期結審の意図を露わにした内田裁判長は、裁判期日前に弁護団に電話で進行協議の設定を提案してきた。傍聴者のいないところで裁判プランと期日を強引に押し付けようという思惑だ。弁護団は、きっぱりと拒否し、この日の裁判に臨んだ。
 弁論では、弁護団がNAAによる市東さんの農地の買収は違法・無効であることを陳述した。この裁判は、市東さんの天神峰の畑に立つやぐら・看板などの4つの物件について、NAAが所有者である反対同盟に「収去と土地の明け渡し」を求めたものである。すでに他の関連裁判でも明らかなように天神峰と南台の農地買収は、耕作者である市東東市さん(孝雄さんの父)の合意なしに行われた違法な土地買収である。しかも、耕作場所を誤るズサンなものであり、農地法違反が明白なものだ。したがって、NAAが土地所有者づらして工作物の撤去や土地の明け渡しを求める権利はない。
 さらに弁護団は、立証の証人プランを明らかにした。農地法や航空政策の各専門家と反対同盟の萩原富夫さん、耕作者として市東孝雄さん、農業委員会、NAAの担当者等の証拠調べの計画を述べた。そして天神峰畑の元所有者との空港公団(当時)の交渉記録や覚書をNAAに提出するよう裁判長にうながすと、内田裁判長は「書面が今日出されたばかりで答えられるわけがない」とNAAの代弁をし、問いただすこともしない。これに傍聴席からも弾劾がたたきつけられる。そもそも、元地主との交渉記録の開示は、1年前から要求していたのをNAAがネグレクトし、裁判長がそれを容認してきていた。あからさまな訴訟指揮に法廷全体で怒りの声が発せられた。
 内田裁判長はさらに弁護団に向かって「主張はいつまでに出そろうのか」「人証について概要を示せ」などと立て続けに迫った。現在の進行状況などをていねいに説明しても、裁判長は聞く耳を持たず進行を求めるばかり。
 弁護団は「市東さんの人生がかかったこの重大裁判で、拙速審理は許されない」と強く弾劾し、裁判長の姿勢を追及した。傍聴席からは「内容は無関心で早く進めることしか頭にないのか!」「NAAに出すものを出させろ!」などの怒りの声が次々と飛んだ。
 さらに内田裁判長は次々回7月までの期日を指定した上で、「その次の期日も」とスケジュールを決めようとした。裁判の進行を無視した期日の決定は、内田の早期結審意図を明らかにしている。「NAAが反論も出さないのに次の期日は決められない」との反論に内田の思惑も粉砕された。
 次回期日は4月16日、天神峰農地に立つやぐらと看板は農地強奪判決の執行を阻む要因になっており、これから重大局面を迎える。全力で傍聴に結集しよう。
 閉廷後に報告集会が開かれた。萩原富夫さんが、「裁判長のスケジュール通りさせない。しっかりやっていこう」とあいさつし、各弁護人が内田裁判長の強権的な訴訟指揮を弾劾した。
 最後に司会の伊藤信晴さんが「2018年、敵の攻撃との闘いは一層激しくなるだろうが、勝てる年だ」と決意を表し、2・19耕作権裁判、3・4芝山デモ、3・8請求異議裁判、4・1全国総決起集会への決起を呼びかけた。

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