団結街道
週刊『三里塚』02頁(0981号01面07)(2017/12/11)
団結街道
「殺虫剤を虫ケア用品に名称変更」。アース製薬が東京オリンピックのオフィシャルパートナーとなるにあたってのイメージアップだそうだ▼そもそも毒ガスを名称変更して作られたのが殺虫剤=農薬だった。毒ガスを開発した科学者たちが消毒会社を作り、学校や電車を消毒殺菌する事業に乗り出した。その後、害虫対策の農薬として一般にも売り出され広く受け入れられた。ヒット商品の殺虫剤「ツィクロンB」は、なんとナチス・ドイツの強制収容所でユダヤ人を虐殺する毒ガスとなった。毒ガスの「平和利用」の行きついた先の現実だ▼藤原辰史著『戦争と農業』では、「競争に基づいて経済を活性化しようとする仕組み」が戦争と農業を同時に覆い、トラクターが戦車に、化学肥料が火薬になっていく興味深いエピソードを紹介している▼とりわけ第1次大戦期に空襲より人々を苦しめたのは経済封鎖=兵糧攻めだったことは銘記すべきだ。イギリスがドイツに対して採用し、76万人もの餓死者が出た。第2次大戦期には「ドイツを飢えさせない」と合法的に政権についたナチスによる「飢餓計画」で、700万人のロシア人が餓死した。日本軍は自国の戦死者の6割、140万人を餓死させた▼餓死・戦争を繰り返させないためには、労働者・農民の人間的共同性に基づく社会の建設・運営が必要だ。労農連帯・国際連帯を築く三里塚がその道筋を照らす。