連載 三里塚闘争と労農同盟論〈上〉 三里塚50年の偉大な地平 〝労農同盟〟を甦らせよう

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週刊『三里塚』02頁(0978号02面07)(2017/10/23)


連載
 三里塚闘争と労農同盟論〈上〉
 三里塚50年の偉大な地平
 〝労農同盟〟を甦らせよう

(写真 晩年のF・エンゲルス)


 9月茨城労組交流センターの労働学校での三里塚現地闘争本部・大戸剛同志の講演を編集し、掲載します。(連載3回)

 まず、三里塚50年の闘いは、労農同盟の誇るべき地平であることを確認したいと思います。
 三里塚闘争は国策である空港建設のための農地強奪に対して、農民の闘いを労働者階級が連帯し、半世紀を超えて阻止し続けています。この絶対反対の思想と労農同盟に基づく労働者と農民の共同闘争こそ、マルクス主義に基づくものです。
 エンゲルスは、次のように言っています。
 「われわれは、〔農民に対する〕資本家の直接の強奪やだまし取りをできる限り阻止するように尽力する」(「フランスとドイツの農民問題」)
 われわれにとって農民の闘いを支援することは当たり前のことですが、さしあたりエンゲルスがこう言っていることは強調しておきます。
 というのは、マルクス主義者と称している部分がみなこう言っているわけではないからです。例えば、カクマルは三里塚闘争を指し、農民への反革命特有の蔑視から「財産を守る小ブルの運動」と言います。「私有財産を守るのはマルクス主義ではない」と批判したつもりで、三里塚闘争に悪罵したのです。
 農民の闘いを労働者が支援し、共闘する意義は、絶えず三里塚闘争では問題になります。

マルクス主義の綱領的課題

 現在われわれの階級的労働運動路線に基づいた労働者の組織化という点でも、重なる問題です。労働運動を組織する上で職場生産点を基礎に、一人ひとりの労働者が組合的団結を作り上げることを通して、普遍的な人間的共同性を全面的に発揮させるのです。だから、一つ一つの資本との闘いにおいても労働者は、自身が全人間的解放をかちとる唯一の階級である立場と能力が育まれます。農民の闘いへの連帯は、その力を高め、職場的団結をより強化、拡大するものとしてあります。結論的に言えば、労農同盟は、階級闘争(その継続であるプロレタリア独裁)において農民を陣営の一員として受け入れ、高めていく闘いを通して、労働者階級も自らの階級的能力を高めていく綱領的課題なのです。これを実践しているのが、動労千葉であり、反対同盟との労農連帯です。
 このような闘いを破壊したのが、スターリン主義です。この歪曲をのりこえて、レーニン労農同盟論を復権しようということです。重要なのは、「労働者と農民の正しい相互関係を作り上げる」(レーニン)といっても、何が正解かということは、ロシア革命で完結されていない。われわれマルクス主義者が、現代における労働者階級が、ここで新たに作っていかなければならない、非常に創造的な行為です。
 したがって、言葉を教条的に確認するだけではダメです。レーニンは、社会主義社会への過渡期を「労働者と農民の同盟に基礎を置く社会」であり、これを建設することを一定の条件の中で提起しました(レーニン「新経済政策の提起」)。このような労農同盟の基本となる提起でも、背景や全体を把握して深めていかなければなりません。

社会主義建設のパートナー

 では農民・農業問題に入ります。農業や農民の抱えている問題の根本的な解決は、資本主義ではできません。そのことをあいまいにする改良主義のイデオロギーがはびこっています。そもそも農業問題は広い領域を含んでおり、立場やアプローチによって規定が異なります。時代によっても変わります。農業問題の複雑さ、多岐性はここにあり、「農は国のもとなり」などという農本主義からでは農業問題を解明することはできません。
 資本家階級にとっては、階級支配とくに労働者階級と農民との分断政策、帝国主義間争闘戦の戦略物資としての食糧・安全保障問題としてあります。農民は、自らの営農にかかわる直接的な面が大きくはありますが、根本的には自らの階級的規定性と解放への探求があります。労働者階級にとっては、ブルジョア権力打倒と社会主義社会建設の共同のパートナーとしての綱領的位置づけが重要です。
 資本家の農民「保護」政策についてのみ触れます。アメリカをはじめ帝国主義国は、莫大な国家財政を投入して国内農業を育成しています。これは農民のためではありません。逆です。農民保護の名目で、食糧を戦争に備えて確保しつつ、公共投資を土木事業などの資本の食い物にしているのです。ブルジョア支配のもとでは政府の農業政策は、どこまでも農民を収奪するものです。農民が生きるためには自ら立ち上がり、資本家のごまかしを暴き、労働者階級とともにブルジョア権力打倒で闘うことです。

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