団結街道
週刊『三里塚』02頁(0977号01面06)(2017/10/09)
団結街道
10月9日は、チェ・ゲバラがボリビアで銃殺されてから50周年。先日、『マルクス=エンゲルス素描』という彼が書いた伝記があることを図書館で知り手に取った▼ゲリラ戦士のイメージが強いゲバラだが、死の直前までマルクス経済学について研鑽を重ね、ソ連の『経済学教科書』に抗する「経済学に関する、来るべき書物」を出そうとしていた。その中の一部が、マルクスらの著作にふれたことのない人たちへの水先案内役となることを企図したこの小著だ▼ゲバラはマルクスを「共感能力が世界中で苦しむ人々全体に及んでいるような人間的な人物で、真剣なる闘争と、揺るぎない楽観主義のメッセージを携えていた」と評し、歴史的歪曲や偶像化から救い出そうと試みる。理論的前進の軌跡、人間的葛藤がコンパクトな中に適格に盛り込まれており、面白く読むことができる▼マルクスは互いに排他的な二つの愛—プロレタリアートへの貢献か、家族への愛か—の両立に努力する。妻と子どもをこよなく愛すると同時に、仕事を優先するマルクス。ゲバラは、ときに私的な手紙の中では理性を押し殺すマルクスの姿を共感的に描く▼「愛のない本物の革命家なんて、考えられない」と言うゲバラ。ふと「自分らしさの檻(おり)」でもがき「愛はきっと奪うでも与えるでもなくて、気がつけばそこにある物」(ミスチル『名もなき詩』)が頭に響く。